いろんな人とつきあって苦労して、蹴飛ばされて、いろんなことを経験してね。
いじめや、嫌がらせを食らったりして、一生懸命仕事をやっても、俺はこれじゃもうだめだとね。
そんな体験を経てきた人間は強いんだよ。
なぜかと言うと、苦労したやつは、今度こそって自分の未来を真剣に探すだろう。
それがない、「ぽっと出の坊や」みたいなやつは俺は好きじゃないの。
それに、苦労を体験していない人間は「人のありがたみ」というのがわからないから。
どんな人間にも、探せば「自分が大活躍できる場所」があるんだ。ないように思うのは、探す努力をしないからだよ。
岡野雅行
人生する必要がないムダな苦労は、あなたを卑屈にする。
しかし、必要な苦労はあなたを鍛え、人格を磨かせ、そして将来、あなたを大きく大きく羽ばたかせるための必要欠かざる経験となる。
だからこそ苦労はどんどんすればいい。ただしそれが本当にあなた自身のためになるのであれば。
あなたのためになる苦労。そしてあなたのためにならない苦労。その違いは何かというと、ずばり、「主体性」があるかどうか。
その一点につきる。
例えば、あなたが今とんでもないブラック企業に勤めているとする。
朝7時には家を出て8時から仕事をし、家に帰れるのは夜中の11時。休日出勤も当たり前で、プライベートも何もない。
会社はあなたをただの使い捨ての金づるとしか思わず、安い賃金であなたをこき使い、それがさも、「あなたの人生にとって大切なこと」のように洗脳する。
洗脳されてしまえば、「これが当然なんだ」と思ってあなたは粉骨砕身、自分にムチを打って頑張り続ける。
しかし世の中、ムリなことはムリである。
そんな生活をずっと続けていれば必ず身体を壊す。そして最後には、あなたは身体を壊すだけで、何も残らない。
ただ残るのは、「なんてムダなことをさせられていたんだろう・・・」という後悔だけ。このような苦労を、自分のためにならない苦労と言う。
逆に、あなたのためになる苦労とは、あなた自らが進んで行動し、その結果を積極的に引き受けることになる苦労のことである。
例えばあなたにはやりたい仕事がある。その仕事で結果を出して成功するために誰よりも頭を回転させ、ハードワークを厭わず、前へ進んでいく。
その結果あなたは長時間働くことになるが、気持ちはワクワクしている。「自分の人生を生きている!」という実感がある。
そういう苦労なら、買ってでもする価値はある。
もちろん、自分のためになる苦労といっても、楽しいことばかりではない。
途中上手くいかなくなり、挫折することもあるだろう。人間関係のトラブルに巻き込まれ、悩むこともあるだろう。「これでいいのだろうか?」と迷うこともあるだろう。
でも、それは全て、最終的にはあなたの「ため」になる。だから人生、自分のためになる苦労ならどんどんすればいい。それは絶対にムダにならない。
ただし、自分のためにならない苦労は今すぐやめた方がいい。
人生は一度きり。どうせ苦労するなら、あなた自身のためのなるような苦労しよう。
出典
『世界一の職人が教える仕事がおもしろくなる発想法』(青春出版社、2008年)