自己啓発ビジネスの「信者」でいるうちは人生が上向かない話

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世の中とはまことに不合理なことに、成功者のみが発言する機会を与えられている。

成功者の発言は成功物語である。途中いかに苦労しても、いかに理不尽な目にあっても、最終的に成功すれば発言のチャンスは回ってくる。

彼らが自分の成功物語を個人的な体験として語るだけなら、まだ無害である。しかし、彼らのうち少なからぬ者は、成功の秘訣を普遍化して語ろうとする。

「こうすれば成功できる」という一般論を語ろうとする。

じつはたいそうな天分とそれ以上に不思議なほどの偶然に左右されてきたのに、誰でも同じように動けば必然的に成功が待っているはずだと期待させる。

中島義道

世の中には不思議な商売があって、「人生で成功する方法」を勉強するセミナーがある。それがいわゆる自己啓発セミナーだ。

人生で上手くいっていなとき、自分が不幸に感じるとき、どん底にいるとき、「○○をすれば人生が変わる!」なんてことを耳にすると、ついすがりたくなってしまう。

今不幸を感じて仕方ない。幸せになりたい。まぁそんな気持ちだろうか。

確かに、数万円から数十万円のお金を出して、結果的に人生が上向けば、そのお金はムダ金にはならないかもしれない。

が、人生で美味しい話はそうそうないもの。高額セミナーや洗脳のことなど、よくよく情報を集めて判断した方がいいと思う。

なぜこのようなことを言うかというと、実は私もその手のセミナーに参加して、カモになりそうになった経験をしたからである。

きっかけは偶然見たウェブサイトから

それは私が大学を出たばかり、世の中のことを全く知らない無知な若造だった頃のこと。

もともと筆者は教員志望だったが、採用試験の二次面接で不合格となり、就職先が決まらないまま、大学を卒業することになった。

しかし、大学を卒業後の3月末、とある学校から非常勤講師の職をもらい、なんとか職を得ることができた。

ところが、その学校での人間関係が終わっていて、自分の将来、キャリアに大きな不安を感じた。

毎日、「自分の人生これでいいのか、何かできることはないのか・・・」とさんざん悩むことになってしまった。

そんなわけで、いろんな本を読んだり、サイドビジネスを始めたり、自分なりに試行錯誤を始めることにした。そんなとき、ネットであるセミナーを見つけた。

内容はというと、「不労所得を得て思い通りに生きる!!!」的なセミナーだ。

サイトを読むと、アメリカで流行したとある作家の本(マネー系の某有名作家)を参考に、「日本で経済的に自由に生きるための勉強をしよう!」的なセミナーらしい。

参加費も1,000円(まぁ、後でなぜこんなにセミナー費用が安いのかが分かるのだがで・・・)だったので、申し込んでみた。

セミナー当日、小さな研修所のようなところで受付を済ませてセミナーに参加したが、そのセミナーが何の目的で行われているか開始5分で分かってしまった。

なんのことはない、それは胡散臭いマルチビジネスの勧誘だったのだ。

落ち込んでいるときほど間違いを犯す

参加者は、筆者と同じく、人生が上手くいっていない人だったり、借金をしていて何とかお金を稼ぎたい人だったり、何かしらの問題を抱えている人ばかり。

そういう人たちを相手に、

「○○をすれば上手くいきます!」

「私達とビジネスをしよう!人生逆転しましょう!」

という感じで、勧誘するためのセミナーだった。

正直かつ公平に言うと、セミナー講師はとてもパワフルな人で、「この人はすごいかも?」と思えるような魅力的な人だった。

多くの参加者が同じように感じたらしく、彼に魅了されたほかの参加者たちは、二次会と称したビジネス勧誘説明会へと消えていった。

ただ私は帰ることを選択した。仕組みが分かってしまったので、「深追いは危険」と感じたからだ。

まぁ、バカのような話だが、筆者も若く世間知らずのバカだったので、今では笑い話にできる。

このほか、いくつかの自己啓発セミナー(ベストセラー作家の主催するもの)に参加したが、結局お金がかかるだけで、自分の人生は何も変わらなかった。

これらの経験によって、セミナーにお金をかけるなら有益な使い道はたくさんある。

本を買って読書したり、自分のビジネスに直接投資して結果を出す方が、よほど有効なお金の使い方になることに気がついた。

関連記事:なぜ本は「借りる」のではなく「買う」なのか

セミナーに行くよりも大切なこと

もちろん、筆者は自己啓発セミナーそのものを否定する気はない。

確かに、あの場は熱気に満ちていて、参加するとやる気がでるのは確かだ。ただ、あるときふと気がつく。「あぁ、今のオレってちょっと(実際はかなり)痛いな」と。

自己啓発セミナーといえど、大体内容は同じで、手を変え品を変えて同じ事が繰り返されているだけ。

善人ぶってポジティブバンザイを目指したり、流派はいろいろあるが、その本質は同じである。

結局、そんなことをしても、何も現実は変わらない。

遅かれ早かれそのことに気がついて、そこで目が覚める。すると、不思議なことに自己啓発セミナーの実態、いろんな話が耳に飛び込んでくるようになる。

まだ自分はそれほどお金を使わなかったので損害はないが、客観的に自分や周りを観察する目を持たないと、ひどいセミナーに引っかかって洗脳される危険もある。

そうなれば、文字通り、セミナー主催者の「信者」(この2つの感じを組み合わせると・・・)昇格間違いなしだ。

関連記事:誰かの「カモ」になる簡単な方法

原因は「すがりたい」願望

この記事を書いていてふとひらめいたが、もしかすると、これは、結局依存心の問題とも関係しているかもしれない。

自分の人生、将来のことが心細くてしょうがない。自分に自信が持てない。何を拠り所にして生きていいか分からない。

こんな状態で、人生の法則やら、成功の法則など、自信満々にドヤ顔で言っている人を見ると、「すごい!私もそうなりたい!」と思ってしまう。

「誰かにすがりたい、不幸な私をやめて成功した○○さんのようになりたい!」

このような心理だろうか。

自分のなかにある依存心に気がつき、すがりたい願望を手放せないと、自己啓発ビジネスの信者化まっしぐら。

自分の人生は良くならないが、お金は出て行く。周囲の人が止めても、「自己投資だ」と言い訳して、高額のセミナーに参加する。

まぁ、ありがちすぎるパターンだが、そこにハマっているかぎり、本質的な変化を起こすことはできない。人生は変わらず、惨めな現実が続く。

だからこそ大切なのは自分の頭で考え、行動すること。つまり自己啓発はセミナーでするものではなく自分自身で行うものなのだ。

そのためには高額のお金を出さなくても、自分を啓発することはできる。

普段の人との接し方を変えたり、勉強して知識を増やしたり。運動して基礎体力を増強し、疲れにくい体にしたり。

やれることはたくさんあって、ムダなお金を使う必要は一切ない。自己啓発セミナーに参加しなくても、「今すぐ」できることはたくさんある。

今すぐできることを始めてそれを継続、コツコツ続けていくうちに、何かが変わっていく。時間はかかるが、やがて人生が変わっていく。

結局は、そういうものなのだ。

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