人間は一人では生きていけません。いろんな人とつながり、寄り添いながら生きていくのです。
だからこそ、出会った人との縁を、何とか切らないよう、うまくつなげていこうと思うわけです。
しかし、人と人との「縁」にも善し悪しがあります。
良い縁なら大切に温め育てる必要がありますが、悪い縁は早めに切ってしまうか、できる限り遠ざけてしまうのがいいでしょう。
保坂隆
よく、「人との縁は一期一会、大切にしろ」ということが言われる。
しかし残念なことに、縁にも善し悪しがある。善い縁と悪い縁がある。出会いがすべて、幸せや良いことを運んでくるとは限らない。
だからこそ付き合う人や関わる人は選んでいい、という話なのだが、人の好き嫌いを明確にしたらしたで、いろいろ批判を受けることになる。
「あの人は選別主義者だ」とか、ひどい場合は「差別主義者だ」とか、悪いレッテルを貼られるリスクがある。
この意味で、人前で「私は付き合う人を選びます」的な選別主義の立場は明確にしない方が安全である。
自分の人生を安全に守る権利
しかし忘れてはいけないのは、人との縁に善し悪しがあること。
ある人と一緒に過ごす時間は素晴らしく、一分一秒が貴重に思われる。だが、ある別の人と一緒にいると話は別。
イヤな気持ちばかりで、悪運にとりつかれたのごとく、悪いことが振りかかる。
「関わった負け」という言葉があるように、トラブルを運んでくる縁、「出会わなければよかった」という縁もある。
それはまるで当たり屋に遭遇したかのよう。
悪縁によって、人生が不愉快なものになることは多々ある。だから、人の縁に善し悪しがあることを認め、素直に悪縁は切れば良い。
それは自分の人生の質を自分で自衛するという意味において、とても大切なことである。
関わらない人とは関わらないでOK
人生はご縁で、良いご縁は良いものを運んでくれるが、悪縁を運んでくる人と関われば、ロクなことにならない。
だから縁を大切にするのはもちろんだが、実際、全員に良い顔をする必要はない。悪い縁はどんどん切る。
そして善い縁だけいいとこ取りすればいいだけだ。
人生に損害を与えてくる危険人物。要注意人物。悪影響を与えてくる人はさっさと縁切りすればいい。
私たちは付き合う人。関わる人を選ぶ権利がある。
それを忘れず必要に応じて縁切り力を発揮していけば、人間関係の悩みや苦しみは、劇的に改善していく。
それほどまでに、誰と付き合うか。誰と関わるか。それは人生において、重要度が高い問題なのである。
出典
『縁切離』(ケーズ・パブリッシング、2012年)