人間的に「退化」しないための必要なこと

決意を新たに

人間的な成長というと、いかにも足し算のようなイメージがある。

しかし、人は年を重ねていけば、必ず人間的に成長するというわけではない。むしろ反対に、人間的に退化していく人の方が多いかもしれない。

その意味では、世間体やしがらみといった荷物を降ろしていく「引き算」のほうが、人間力を磨く作業になってくる。

桜井章一

人生、生きているといろいろ面白いことがある。特に興味深いの人の変化だ。

・手が触れただけで頬を赤めていた純粋な女が、超ミニスカを履いて夜の街に繰り出すイケイケの女に変わってしまった。

・真面目一徹、順調に仕事で結果を出してきた男が悪い女に引っかかり会社の金を横領、逮捕された。

など、生きていると「なぜあいつはあんなふうになってしまったのか?」という、時の流れの残酷さを実感する出来事が起こる。

この意味で、人はただ生きているだけでは、成長しない生き物なのだと実感する。いや、もっとハッキリ言ってしまえば、年を重ねるとともに「退化」してしまう人も案外多い。

容姿は年々劣化し、頭はどんどん硬くなる。自分の狭い世界を絶対視し、新しい意見、新しい考え方を受け入れようとせずに「老害化」する。

この意味で、年を取れば誰もがが人間的に成長できるとは限らない。

普通は30代より50代の方が、いろんなことを経験して人間的に成長しているはずだが、人によっては、50代より30代のときの方が人間的に優れていたかもしれない。

そう考えると、人として成長することは、決して年を重ねることではなく、もっと意識的な何かに違いない。

年を重ねるだけでなく、意識的に自分自身をアップデートしていく。

自分を客観的に見つめ、自分がどんな人間なのか、人に何を与えているのか。そして何を与えていないのか。それらを振り返って自分を見つめ、反省し改善する。

それができれば人間的に退化せず、成長し続けることができる。多分それこそが本当の意味での成長なのだろう。

それは難しい道だが、少なくとも、年を重ねるごとに、自分が成長している気になるのだけは避けたい。

それができれば、人間的に成長していなくても、退化することは、防ぐことができるだろう。

出典

『流れをつかむ技術』(インターナショナル新書、2017年)