いつもあなたがあの人に嫉妬してしまう理由

嫉妬深い女

自分がもっと魅力的な人間になって、その恋人よりもっと素敵な人とお付き合いしよう。

こういう気持ちを、「良性妬み」と言います。

自分が成長する原動力になるという点で、こういう形で妬み感情を持つことは、むしろ自分にとってプラスに働きます。

一方で、そんな素敵な恋人と付き合っているのはムカつくから、悪い噂をどんどん流して仲違いさせてやれ。別れさせてやれ。なんならその恋人を寝取ってしまえ。

そんな気持ちが生じたとき、この感情を「悪性妬み」と呼びます。

相手を引きずり下ろして自分と同じか、自分以下の状態にしたい、というネガティブな感情です。

中野信子

「もっと幸せになりたい」「今よりもっと素晴らしい自分になりたい」

このようなポジティブな感情は、自分をより成長させるためにとても役に立つ感情だが、人を成長させるのは、このようなポジティブな感情だけではない。

ときに、怒りや嫉妬といったネガティブな感情も、自分を成長させて現状を劇的に変えるための大きな力となる。

例えば、あなたは人生どん底に陥ってしまったとする。

やることなすこと、全てがうまくいかない。しかし、あなたの嫌いなあいつは、なぜか何もかも人生がうまくいっている。

そして、「君はなんでそんな負け犬人生を送っているの?」と完全にあなたを見下した態度であなたを煽ってくる。

このときあなたはきっと「この野郎!」と激しい感情を抱くに違いない。そして、「今に見てろよ!」と心に誓う。

「あいつみたいなク○野郎が人生がうまくいっているのに、自分の人生がうまくいっていないのは絶対におかしい!」

このようなネガティブな感情を人前で公言するのは正直なところはばかられる。なぜなら、そのような感情は「悪い」感情だと考えられているからだ。

しかし実際問題、この「悪い」感情というのは、とてもエネルギーが強い。そして、使い方によっては、人生を文字通り、一変させる力になる。

例えばあなたは知っているだろうか?

俗にいう世の中の成功者が、実は、ネガティブな感情を燃料にして行動して成功しているという現実を。

「当時の彼女に無様に捨てられた。あいつを見返して、俺を捨てたことを後悔させてやるために成功してやると誓った」

「実家貧乏で、ずっと周りの人間が妬ましかった。だからいつか、あいつらよりもいい暮らしをしてやろうと誓った」

「俺が人生こんなにうまくいっていないのに、なぜかあいつだけは幸せそうだ。それが許せなかった。だから俺はあいつよりも幸せになれると証明したかった」

表では語られないが、このような話は案外多い。

彼らは嫉妬した。そして理不尽な現実に怒った。そこには暗い炎が生まれた。それを行動の燃料にして、彼らは成功した。

この意味で、劣等感が強い人ほど成功できるというのは真実である。

つまるところ、妬みや嫉妬、怒り、劣等感などによって生じる暗い炎は、使い方によっては、とてつもなく大きなエネルギーとなる。

問題はその使い道である。

誰かを妬んでもいい。「この野郎!」と激怒する怒りを持ってもいい。ただしそのエネルギーを、あなたの人生がより良くなる方向で使うのだ。

最悪なのは、自分を成長させる力ではなく、人を貶めたり、足を引っ張ったりする方向で力を使ってしまうことだ。

それは誰にも特にならない、非生産的な力の使い道である。

だからあなたのなかに、妬みや嫉妬といった暗い感情が芽生えたらあなたはその力の使い道を試されている。

その力をあなたの人生に変えるために使うのか。それともただムダにしてしまうのか。あなたはそれを選択できる。

嫉妬深くてもいい。むしろ、嫉妬深いなあなたを大切にすべきである。

その力の使い道さえ間違えなければ、あなたは自分のネガティブさによって成功できるのだから。

出典

『シャーデンフロイデ』(幻冬舎新書、2018年)