「成功」を体験した人は、友だちには「個人的な」友だちと、「地位的」な友だちの二種類があることに気がつくものです。
個人的な友だちは、あなたの状況が良かろうが悪かろうが、高い地位についていようが低い地位についていようが、あるいは、どんな地位にもついていなくても、いつもあなたと一緒にいてくれる存在です。
個人的な友だちは本当にあなたのことを気にかけてくれる人で、あなたと一緒にいることが楽しいと思っている人です。
地位的な友だちは、あなたが就いている影響力のある地位の友だちです。その人は同じ地位に就いていた前任者の友だちでしたし、将来その地位に就くであろう人の友だちになる人です。
これは仕事に役立ちます。この種類の友だちによってつくられるネットワークはあなたにとっても、地位的な友だちにとっても有益なものです。このことには何の問題もありません。
ただ、地位的な友だちと個人的な友だちを混同してはいけないということです。
ケント・M・キース
大人になると、いろいろ人間関係が難しくなってくる。その主な理由の一つは利害関係だ。
大人になると「好きか嫌いか」という感情的なものより、「得をするか損をするか」という利害が人間関係のなかに混ざってくる。
もちろん、子どもの人間関係にもそういうところがあるが、大人の場合は更にその傾向が顕著になってくる。
というのは、大人の暮らしは現実で、お金が絡むからだ。
偽物の友だち
一緒にいて得をしそうな人には頭を下げ、ときにイヤな野郎のケ○さえ舐める。
本心は隠しニコニコ付き合うが、用がなくなったらサッと消えてしまう。
特に利害関係が絡む仕事ではそういう人種が多い。普段は友だち面をしているが、それは結局、一緒にいると得をするからである。
「フレネミー」という言葉があるように、悪意を持って友人面してくる人種もいる。
そのため、誰が本当の友だちで、誰が本当の友だちでないのか、そこを勘違いしてしまうと悲惨である。
間違った認識で人間関係を誤ると人間不信になってしまう。
本物の友だち
が、それも人間関係の現実である。
人間関係の立ち位置と距離感を見極め、本当の友だちとそうでない友だちを混同せず、上手くやっていくことが大切だ。
では本当の友だちを見極めるにはどうすればいいか?
あなたが失業していようとツイていないときだろうと、人生が良いときだろうと、どんなときもあなたと関係が途切れない人のことだ。
つまり、人生晴れの日も雨の日も。損得関係なく付き合うことができる人は、本物の友だちである。
そういう友だちは、何があっても大切にしたい。大切にする価値がある。
出典
『それでもなお、人を愛しなさい』((ハヤカワ文庫、2016年)