人生は、理論では説明きれない。何かが、遅かれ早かれ私たちをある一つの道へと呼び込んでゆく。
その”何か”は、子ども時代に突然やってくることもある。ふってわいたような衝動、あらがいがたい魅力、思いがけない曲折。そんな一瞬がまるで啓示のように、あなたにこう訴えかける。
これこそ私がやらなければならないこと、これこそ、私が手にしなければならないもの、これこそ、私が私であるために必要なものだ、と。
ジェイムズ・ヒルマン
人生はゼロから自分自身で作り上げていくものなのか。それとも、生まれたときから決められた運命があるのか。
その答えについて、ある心理学者はこう考える。私たちには、生まれながら魂が存在する。そして、それぞれ与えられた運命がある。それを現実のものとするための過程が決まっている。
それが人生である。
運命とは最初から決まっているもの
人生は遺伝子や環境によって決まるのではない。もとから運命があって、それを実現するために生きていく。
つまり、私たちにはそれぞれ固有の運命がある。その運命を歩むことこそ、自分が自分であるために必要不可欠なものである。
確かに思ってみれば、人生には何度も、「お前はこっちの方へこい」と呼びかけられているような、不思議な経験をする。
それに導かれてたどり着く場所、そこがまさしく自分の人生であり、「こうあるのが当然だったのだ」というような、不思議な必然性を感じる。
「なるべくしてなった」という事実
そのきっかけ、理由は、考えてみてもよく分からない。
何となく、偶然に、そんな曖昧な理由でしか説明できない。「気がつけば」その道へ引きこまれていた。そういうものだ。しかし、なるようになったということ、それこそが結局は一番大事なのだと思う。
そこで「なぜ」を問う必要はない。結局それが、そうなるべくしてなった自分の運命。その道を進むことが人生できっと、大切なことに違いない
運命の導きに従う
この意味で、自分の運命を歩んでいく。そのためには難しい話はなにもない。ただ自然に生き、呼び込まれる道に進んでいけばいい。
日々何気なく生きていても、本当に進むべき道に進むのであれば。特に意識しなくても、その道は自然に用意されていく。
ただ恐れずに、その道を進んでいけばいい。そうすればいつか分かる。「私がやらなければならないこと、これこそ、私が手にしなければならないもの、これこそ、私が私であるために必要なものだ」と。
出典
『魂のコード』