「夜明け前が一番暗い」という言葉があるが、これはとても良い言葉だ。辛いときを乗り切るとき、これほど力になってくれる言葉はないと思う。
というのは、この言葉は、まさしく人生の真実だと思うからだ。具体的にはどういうことなのか、説明してみたいと思う。
夜明け前=明るくなる前
人生はときに、何もかも上手くいかずどうにもならない闇の時期がある。
打つ手は打った。できることはすべてした。しかし、少しも状況は良くならない。悪いことが続き、何もかも嫌になってしまう。そして、「俺の人生、もうダメか・・・」と暗いことばかり頭によぎる。
ところが、どん底の時期も「ある時点」を迎えると、そこから徐々に状況が変わってくる。人生何もかも上手くいかなかったのに、状況がどんどん良くなり、気がつけば底を抜け出している。
まさに、夜明け前が一番暗くてどうしようもないが、そのどん底を耐え抜けば明るい光が待っていることを実感できる。これが「夜明け前が一番暗い」という言葉の意味だと思うが、実際、私も同じ体験をした。
どん底の時期も必ず終わる
私の20代はまさに人生の修行期間だった。
10代の頃から追いかけた夢を叶えることに挫折し、大学卒業後も就職に失敗し、軽く人生が詰みかけ、やることなすこと上手くいかないどん底の時期を経験した。
そして20代最後の29歳のとき、仕事を変えて心機一転やり直そうと最後の手を打ったが見事失敗。端的に言うなら、人生に絶望した。
やることなすこと上手くいかない。未来が見えない。まさに真っ暗闇の中であったが、そこが私にとってはまさに「夜明け前」だった。その最悪の時点を転換期に1年2年、私の人生は徐々に変わっていった。
今まで上手くいかなかったことが急に上手くいきだし仕事も順調。収入も増えて気がつけば、「こんなふうに暮らしたい!」と夢見た暮らしに近い人生を実現していた。
この体験から、人生で本当に辛い時というのはそれが「辛さの臨界点」で、そこさえ耐え抜けば必ず、「生きていて良かった!」と思える良い時期がやってくることを知った。
この体験は、私の人生のなかでとても貴重な学びとなった。すなわち、「人生でどんなに苦しいことがあっても、それはいつか終わる」ということを学んだ。
未来を見据えて種をまく
人生、どんなに辛い時期もいつかは過ぎ去り、そして新しい時期がやってくる。
だからこそ、どん底の時期でも絶望に飲まれてはいけない。未来を見つめ、種を蒔いておく。「必ず夜明けはやってくる」と信じ、耐え抜くことが大切だ。
人生には流れがあり、どんなに苦しい時期が続いてもある時点さえ過ぎてしまえば、それが嘘のように状況が変わっていく。
「いつか状況は良くなる」と信じ、未来を見据えて種を巻き続けていれば、その努力は決してあなたを裏切らない。
人生が「現時点」で「もうこれ以上ないほど最悪」な状況だったとしても、それはいつか必ず、終わる。いつ状況が良くなるか、それは分からない。しかし、どんな悪い状況も、いつか必ず終わる。それだけは確かである。
最後に
「もうダメだ・・・」と限界に達したとき、そのときは、もしかしたら夜明け前の底の底なのかもしれない。もうちょっとだけ耐え抜けば、嘘のように状況が変わるかもしれない。
奇跡の前には不吉なことが起こるように、長い人生も良きことの前には悪いことが起こる。そのことを知っていれば、心の慰みになるし、辛い時期を耐え抜く力になる。
この意味で、「夜明け前が一番暗い」という言葉は、本当に素晴らしい言葉だと思う。目の前が暗ければ暗いほど。あと少し、ほんのあと少しで、光に満ちた朝がやって来るかもしれない。
だから「希望」を持つことはとても大切である。それは信頼である。「自分の人生」に対する、無条件の、信頼なのである。