人生の質は、年収や資産の額で測られるものではなく、「世の中への貢献度」で決まります。科学的には証明できない不思議な現象なのですが、使命を実行すると、まだ達成する前に、支援と感謝が向こうからやってきます。
及川幸久
個人的な考えだが、お金はないよりあったほうがいい。お金はこの世界で、「できないこと」より「できること」を大きく増やしてくれるからだ。
お金とは、人が「自らがよりよくなりたい」「より良い現実を創りたい」という欲を実現するためのツールであり、その欲自体は素晴らしいものだと考える。
だが近年ますます強まっているように見える「お金を持っているやつが勝者だ」「お金を稼げないことには価値がない」といった主張には賛同しかねる。
お金はそれ自体中立的な存在であり使う人次第である。問題は「それをどのように用いたのか?」だからである。
はじめに
ここで改めて書くまでもないことだが、私たちはこの世界に何も持たずに生まれ、そしてこの世界を去るときはこの世界で得たすべてのものを手放して、あの世へと旅立つ。
いくらこの世界で使い切れないだけのお金を得たところで。銀行口座に安心して余生を過ごせる以上の金額が貯金されているからといって。それを次の人生に「持ち越す」ことはできない。
ゆえに人生において重要なのはどれだけお金を貯めたのではなく、そのお金を使ってどのような人生を実現したか?どのような人として生きたのか?それこそが本当の意味で最後の最後に問われる問題である。
確かアメリカの億万長者の話だったと記憶しているが、莫大な富を得たものの誰一人信じられず、ホテルの一室に引きこもって見えない病原菌に怯えた男がいたそうである。
お金はある。使い切れないほど、ある。だが誰一人信用できず見えない何かに怯える日々。その人生は、豊かだろうか?
何かを得ることは素晴らしい。だがそれ以上に重要なこと
「志望校に合格しました」
「素晴らしいパートナーと出会い結婚しました」
「大きくて立派な家を手に入れました」
お金に限らず、何かを得ることには価値がある。達成することは意味がある。だがそれ以上に重要なのは、「それを得た結果、それを達成した結果、どんな人になりどのような人生を送るのか?」ということである。
得ることはあくまで手段に過ぎない。だからこそ得ることだけに固執するならば、「それを得た結果不幸になりました」ということも逆説も起こり得る。
繰り返す。何かを得ることには確かに価値がある。だがそれ以上になぜそれを得るのか?それを得た結果どのような人になりたいのか?そしてどのような人生を実現したいのか?こうした問いに対し、自分なりの答えを持つことが大切である。
最終的に問われるもの。それこそが”being”
何かを得るのは、最終的に何かを得た結果「なった自分」ができることをできるようになるためである。この世界で経験すべき何かを経験するためである。
いくら声高に理想を叫ぼうとも手元にお金がなければその日の生活にすら困ってしまい、本来すべきことさえできない。だからこそ生存のためにお金を求めることは極めて自然である。
だがそれ以上にお金という人生でするべきことをするための切符を堂々と使うことによってその影響は自分だけにとどまらず、他の人や社会にまで、その影響を及ぼす可能性がある。
だからこそ人生の質を問うのであれば、「何をどれくらい手に入れたのか?」など”having”(所有)で質を測るのではなく、“being”(存在)でそれを測るのである。
例えば世の中には幸せな金持ちと不幸な金持ちがいる。幸せな金持ちと不幸な金持ちはともに「お金を持っている」ことは共通している。
だが倫理に反することをしたり人を利用し奪いお金持ちになった人と、周囲に喜びを与えた結果お金持ちになった人では、「お金を持っている」という結果以上に決定的に何かが違うことを、容易に理解できるだろう。
“having”は同じのように見えるが”being”は全く異なる。それはシンプルな話である。
最後に
人生の質を高めるために究極的に重要なことが一つある。それは、自分のことプラス誰かに何かを貢献することである。
自分のことは大切にしていい。欲を持ってもいいし、良い思いをしてもいい。その上で少しだけでもいい、自分が得たものや持っているもの、知っていることを誰かとシェアするるのだ。
今の滋賀県に近江商人と呼ばれる人々がいた。彼らのモットーは「三方よし」である。「自分だけ良ければいい」ではなく、自分も取引先も、お客さんも皆満足する取引をする。それが「三方よし」の精神である。
自分も満足してOKだが、同時に自分だけでなく周囲の人に少しでも気遣いする。そうした貢献によって私たち自身の人生もまた、巡り巡ってその質を高めることができる。
結局この世界は、様々な人々と共存していく場所である。人生の質を高めるためには自分ファーストは構わないが、自分を大切にしつつ他の人への気遣いも忘れてはいけないのだ。
出典
『ザ・スイッチ 世界一わかりやすい「潜在意識」の使い方』