金で買えるものはたくさんある。金で買えないものもたくさんある。
浅田次郎
仕事を頑張って収入を増やす。
収入が増えてお金がたくさんあると、それまできなかったことができるようになり、買えなかったものが手に入るようになる。
それはとても刺激的で楽しく、ときに豊かなことだけど、それが行き過ぎると、「自分には何でもできる」と、変な錯覚を感じるようになる。
「お金さえ払えば何でも手に入る」
無意識のうちに、そんな傲慢さが芽生えてくる。
「お金があれば」は正しい一方
確かに、お金さえあれば、人生できることが格段に増える。モノだけでなく、ときに、人間関係もお金で買うことができる。
しかし忘れてはいけないのは、お金で買えないものもたくさんあるという事実だ。
いくらお金を払おうと、老いや死からは逃れることができない。アンチエイジングをしようが最先端医療を利用しようが、人は老いて、いつか死ぬ。
いくらお金を払おうと、本当に価値ある人間関係を買うことはできない。
お金で気持ちが動く人を買うことはできるが、お金を払わなくなったら、その人は秒速であなたの前から消えていくだろう。
お金は大切だし、人生を楽しめるだけのお金、したいことをするためのお金を手に入れることは、素晴らしいことである。
お金で不幸にならないために
ただし、本当に大切なもの、価値があるものは、お金で手軽に買うことはできない。
自分を支えてくれる家族。価値観や夢を分かち合うことができる友人。人生で手に入れる価値があるものはすべて、お金で入手することはできない。
それを間違えてしまうと、お金があることが逆に、不幸を招き寄せる。
だからこそ大切なのはお金でできること。そしてお金でできないこと。それを忘れずに、正しく付き合っていくことである。
お金の力を正しく使って、幸せな人生を実現するために。
出典
『世の中それほど不公平じゃない 浅田次郎 最初で最後の人生相談』