未来に先回りして点と点をつなげることはできない。君たちにできるのは過去を振り返ってつなげることだけなんだ。
だから点と点がいつか何らかのかたちでつながると信じなければならない。自分の根性、運命、人生、カルマ、何でもいいから、とにかく信じるのです。
歩む道のどこかで点と点とがつながると信じれば、自信を持って思うまま生きることができます。たとえ人と違う道を歩んでも、信じることが全てをかえてくれるのです
スティーブ・ジョブズ(スタンフォード大学 2005年卒業スピーチより)
人生において、無駄なことは一つとして存在しない。
どれほどの失敗も、どれほどの挫折も、屈辱や悲しみでさえも、その出来事にはそれぞれ、深い意味と必然性が宿っている。
ただ、その意味がいつ明らかになるかは分からない。今すぐ理解できることもあれば、何年も、あるいは何十年も経ってようやく腑に落ちることもある。
だが、あるときふと気づくのだ。「そうか、だから自分はあの経験をしたのか」と。過去の出来事が点と点となってつながり、一筋の線となって浮かび上がる瞬間が、必ずやってくる。
そのとき、人は気づく。自分の人生に無駄なことなど一つもなかったのだと。経験してきたすべての出来事には、ちゃんと意味があり、自分を導くために起こっていたのだと。
なぜそれが起こったのか。理由は分かるときに分かる
なぜ、あのとき、あんなことが起こったのか。なぜ、自分だけがあんな思いをしなければならなかったのか。
その理由は、そのときには分からなくていい。無理に理解しようとしなくていい。人生においては、すべてが「必要なタイミングでわかる」ようにできている。
今はまだバラバラに見える経験の断片も、やがてひとつのストーリーとしてつながるときが来る。整合性がないように思える過去の出来事が、実は意味深い伏線だったと気づく日が来る。
だからこそ、大切なのは「今」なのだ。目の前のことに夢中になること。気になることを追いかけてみること。答えが見えなくても、やりたいと思うことに素直になること。
未来のことはわからない。けれど、「今この瞬間に自分の心が動いたこと」に正直でいることが、未来へつながる点をつくっていく。
時に、望まぬ経験をするかもしれない。苦しみや悔しさ、挫折や喪失もあるだろう。しかし、それらのすべてが、あなたの人生において意味のある「点」なのだ。ポジティブなものも、ネガティブなものも含めて、すべてが価値ある経験である。
だからこそ、その一つひとつを、丁寧に味わってほしい。決して急いで結論を出さないことだ。
人生はいつどこで、どうなるか、わからない
自分の人生が良かったのか悪かったのか。それは最後にならなければ分からない。だからこそ、自分の人生に、早まった見切りをつけてはいけない。
「自分の人生は失敗だった」
「もう手遅れだ」
「何をやってもダメだった」
そう思ってしまう瞬間は、誰の人生にもある。しかし、そこで決めつけてしまってはもったいない。
人生の評価は、終わってみなければ分からない。途中で判断を下すことはできないのだ。
今がどれほど苦しくても、五年後、十年後、人生に感謝する日がやってくる可能性は十分にある。むしろ、多くの場合、「人生最悪の出来事」が「人生最高の展開」への入り口だったと後で気づくことすらある。
だからこそ、今が良いとか悪いとか、そんな一時的な判断に惑わされる必要はない。すべての出来事は、自分を成長させるために、そして未来でつながるために起きている。
人生に「困ったこと」は起こらない。起こることにはすべて、何らかの意味と役割がある。その意味にすぐ気づけなくても構わない。けれど、すべての経験を、無意味なものとして扱わず、大切にする。
そうすれば、きっといつかどこかで、バラバラに見えていたすべての点が、一本の線としてつながる。そしてそのとき、人生の不思議さと面白さを、心の底から感じることができるだろう。
最後に
人生で起こること。その意味は、今すぐわかるものではない。でも、振り返ったとき、「ああ、すべてはつながっていたんだ」と思える日が、必ずやってくる。
うまくいかないこと、報われない努力、思い通りにならない現実。そう感じる瞬間は確かにあるかもしれないが、それが無駄だと決めつけるには早すぎる。
たった今の経験も、まだ形になっていない「点」にすぎない。でもその点が、未来のどこかで他の点とつながり、大きな意味を持ちはじめる。
だからこそ、今この瞬間を大切にする。うまくできなくてもいい。遠回りでもいい。泣いても、転んでも、立ち止まってもかまわない。ただ信じて進んでいく。
その意味はやがてわかるのだから。