組織には価値観がある。
そこに働くものにも価値観がある。組織において成果をあげるためには、働く者の価値観が組織の価値観になじまなければならない。
同一である必要はない。だが、共存できなければならない。さもなければ、心楽しまず、成果もあがらない。
P・F. ドラッカー
会社、学校、友人の輪。人が集まるところ、独特の空気が生まれる。それは決して言葉にはされず、暗黙のうちに理解することが必要とされる。
その空気を乱すものは、組織の人からハブかれたり、ひどい場合はいじめを受けたりする。空気に馴染めないというだけで、攻撃の対象になってしまうのだ。
それはなぜなのか?
本質は「異質」の排除
人は本質的に自分と異質な存在の者を恐れる。
未知の者は自分に危害を加える可能性がある。だから、自分とは違う者を警戒し、時には先制攻撃を加えることで、自分の安全を確保しようとする。
人はどこかに所属することで、「生きている」という実感を感じることができる。誰かに自分を認識してもらえることで、自分という人間がこの世界で生きるのだ。
ただ問題はこれ。所属する組織の空気と、自分が合わないときだ。
先人たちは人に合わせ、我慢することの大切さを説くが、それは組織が自分のキャラと合わないときのアドバイスとしては不適切だ。
だから環境は選ぶ
アイディアマンで発想勝負の人間が、思うようにモノが言えない環境では、ろくにその能力を発揮することができないだろう。
マジメにコツコツ、寡黙に作業することが好きな研究者タイプの人間が、体育会系のノリノリの職場で馴染もうとすると、それはまさしく自己否定であり、生き地獄となるだろう。
組織の価値観と人のミスマッチは双方にとっても大きな損失になる。
自分が所属する場所は、慎重に選びたい。それは、自分が輝く方法であり、組織に対して役に立つ最善の方法なのだから。
出典
『プロフェッショナルの条件―いかに成果をあげ、成長するか』