「結婚しないと、将来は孤独死が待っている。孤独死は避けたいから、結婚したい」という人もいます。けれども、では「結婚したら孤独死を迎えずにすむか」といえば、そんなことはありません。
結婚しても、ふたりが同時に死んでいくことはありえません。結婚したとしても、どちらか一方は残るわけです。すると、残されたほうが孤独死する可能性は、非常に高いのです。
諸富祥彦
寂しい。一人でいたくない。孤独死は嫌だ。人は愛だけでなく、そのほか現実的な理由で結婚を選択する。
結婚すればパートナーがいる。どんなときも一人でない。子どもを作って家族ができる。良いことづくしのような気がしないでもない。
しかし、結婚したら寂しさから逃れられるか?孤独死を避けられて「めでたしでたし」となるか?というと、人生そうは問屋がおろさない。
結婚しても離婚する可能性は30%以上ある。結婚が続いても、先にパートナーに先立たれる可能性もある。子どもができても、子どもと不仲で、家族がバラバラになる可能性もある。
つまり、「結婚したら幸せに死ねる」というのは完全に妄想である。
人は本質的に孤独である。パートナーがいようがいまいが、子どもがいようがいまいが、結局最後には一人で死んでいく。
おまけにパートナーや子どもとの関係が悪かったら最悪だ。それは独身者でいることよりも、相当深刻な孤独を味わうハメになるだろう。
家のなかにいても自分の居場所がない。家族が自分を除け者にしている。家族が皆ギスギスしてよそよそしい。それなら一人でいたほうがずっとマシだ。
では結局何が言いたいのかというと、ようは、「誰でもいいから結婚するのはやめておけ」ということだ。
物事は自然に考えた方が上手くいく。結婚も同じだ。この人とずっと一緒にいたい。一緒に生きていきたい。そう心から思える人が現れ、縁があれば、結婚すればいい。そういうものだ。
しかし、「一人でいるのは寂しい」とか、「結婚しないと世間体が悪い」とか、「経済的に安心だから」とか、損得や理屈で結婚しても、きっと本質的な問題は解決しないだろう。
その行き着く先は、最悪孤独死かもしれない。だから結婚=幸せという幻想は持たない方が安心かもしれない。
でも、「この人しかいない!」という強い必然性を感じる人となら、「すべてを失ってもいい!」と思えるほど強い愛情を感じる人との結婚は試す価値がある。
だから結婚は焦ってはいけない。大切な出会いがやってくるまで、決して焦らないことだ。結婚するなら、幸せな結婚をしよう。
出典
『あなたがこの世に生まれてきた意味』