私はこの豊かで美しい国で、孤独な人を見ました。この豊かな国の大きな貧困を見ました。人間にとって最も悲しむべきことは病気でも貧乏でもありません。物質的な貧しさに比べ、心の貧しさは深刻です。
マザー・テレサ
「○○さえあれば幸せになれる」
という考え方は、誰もが経験する人生の大いなる錯覚の一つである。
例えば今、あなたが経済的に苦労していて、「お金さえあれば私はもっと幸せになっているはずだ」と考えているとする。
それで実際、お金が手に入って、経済的な問題がスッキリ解決したとする。
それによって、あなたはほんの少しの間、幸せを感じることができるのは確かだ。しかしあなたはすぐに気がつく。「幸せだ」と思っていたものが、すぐ消えてしまっていることに。
つまるところ、「○○さえあれば幸せになれる」というのは全て幻想である。
お金、恋人、健康、なんでもいいが、あなたが「○○さえあれば幸せになれる」と思っている限りは、何を手に入れようと、あなたは決して幸せになることはできない。
なぜなら、幸せとは完全に心の習慣だからである。
だから、今あなたの人生が失敗続きでどん底であったとしても、恋人にフラレて孤独だったとしても、経済的に追いやられて最悪の状態だったとしても、あなたが幸せの習慣を持つ人であるならば、あなたは幸せを感じることができる。
しかし、あなたが幸せの習慣を持っていない人であるならば、あなたがどれだけ経済的に成功していても、異性にモテまくって華やかな人間関係を築いていたとしても、あなたは何一つ満足することはできない。
すぐに飽きて、また新しい、「自分に足りない何か」を探し始めることだろう。だから幸せは決して見つからない。
この意味で、本当に大切なのは心の習慣である。綺麗事でも何でもなく、幸せは心の在り方であり、習慣である。
だから今、自分自身に満足できないときや今の人生に不満しか見つからないときは、あなたが何を手に入れても、どれだけ成功しても、決して幸せを感じることはできない。
しかし、今あなたが手にしているものに感謝でき、満足することができれば、第三者が客観的に見てあなたの人生が不満足なものだったとしても、あなたは幸せを感じることができ、人生に満足することができる。
幸せとは結局、そういうものである。
出典
『それでもなお生きる』