一つの終わりは新しい始まり。
私たちの人生は一定のサイクルのなかで、成長と衰退を繰り返していく。成長と衰退の過程において、築き上げてきたものがいともかんたんに崩れていくという悲劇的な現象も起こりうる。だがそれは決して悲劇ではない。
それは始まりである。次のステージへと向かう時を知らせるサインである。
はじめに
人生で大切なことは、今起こっていることから「自分にとって必要なこと」に気づくことである。特にそれは、良い出来事より悪い出来事のほうが重要度が高い。
病気になった。人間関係がうまくいかなくなった。仕事を失った。これらは「(今持っているものを)失う」という現象であり、それは良いか悪いかというタグで判断すれば、「悪い」と考えるのが普通かもしれない。
ところがである。「禍福は糾える縄の如し」という言葉があるように、プラスとマイナスは表裏一体。「悪い」と思った出来事が起こった後、「そうか、だからあのとき、あの悪い出来事が起こったのか」という、現実に直面する。
だから人生その時々起こる出来事を、良いとか悪いとか、考える必要はない。大切なのは起こった現象を率直に、あるがまま受け止めることである。
だから「良くなる前」に「悪くなる」
人生において私たちは、その時々、必要なものを身につけ、そしてそれが必要となくなったとき、それを手放す必要がある。
今までうまくいってきた様々な事柄も、その役目を終え、その必要性がなくなったとき、自然にうまくいかないようになっていく。このときいかにそれを、勇気を持って手放すことができるかどうか。それが未来に影響する。
例えば人生では「悪い出来事」が続く(ように思える)時期があるが、それはあくまで表面である。トラブルが起こって、自分の意志とは関係なく、物事がだめになる。そんなときがある。
ここで一つ頭の片隅に入れておきたいのは、もしかしたらそれはうまくいかなくなったほうが「それからのことを考えれば」良いのかもしれない、ということである。
次へ進むために「手放す」
物事が停滞し、あなたは運に見放されたように感じる日々を過ごす。そして目の前の現実としては、良いニュースは何一つないように思える。
ところが、一定期間今まで持っていたものを「失う」という時期を通じ、あなたには新しく何かを手に入れるための余白ができたことに気づく。
私たちはあれもこれも、何もかも手に入れることはできない。だから必要なタイミングで何かを手放し、そして新しい替わりの何かを手に入れる。これが成長と衰退という、人生で繰り返されるプロセスである。
そして重要なポイントが一つ。必ず、物事はきちんと帳尻が合うようになっている。
最後に
築き上げてきたものが崩れていく。それは決して悲劇ではない。役目を終えた物事は必要なタイミングで、その役目を終えていく。大切なのは「手放す」覚悟を持つことである。
人生延々と良い時期だけを過ごすことはできない。良くなる前に悪くなるというプロセスを経るのは、良くなるためにもはや必要ではなくなった何かを手放し、新しい余白を作るためである。
それは成長と衰退という、再生のサイクルの一部である。だから大丈夫。その先に新しいステージが待っているのだから。