私たちがそれぞれの人生で出会う人。それは「自分自身を映す鏡のような存在である」という考え方がある。
私たちは自分自身を自分として理解するだけでなく、他者を通じて自分自身を再発見する。自分と似た人、自分では認めたくはないけれど自分が持っている嫌なところを持っている人。
確かに、人生で出会う様々な人々との出会いが無目的に与えられているとは考え難い現実があることに驚く。そこでこの記事では、なぜ人生で出会う人が自分を映す鏡となりうるのか？その理由について、考えてみたい。
はじめに
「類は友を呼ぶ」という言葉がある。これは良い意味でも悪い意味でも使うことができる言葉だが、なぜ類友現象が起こるのか？それはひとえに、人は自分と（何らかの部分で）同質の存在を引き寄せるからである。
学生の仲良しグループ、井戸端会議をする主婦、そこで形成されるグループは一定の共通項を通じてグループが形成されている。それは職業や年齢、学歴といった「属性」もそうだが、「性格」や「価値観」といった個人の内面的なものも含まれる。
だがそれ以上に重要なのが、そのつながりを通じて在る自分の姿である。「誰とつながっているか？」という他者を通じて自分が見えてくる自分は確かに自分なのだが、私たちは全く自分とは関係のない人とつながることはない。何らかの理由でつながるものがあるからこそ、それが一時的であれ、つながるのである。
他者の中に自分が持っているけど「自分もそうだ」と認めたくないものを見る現象
例えば、人生を振り返ってみると、人生では度々「苦手な人」が登場するタイミングがある。考えても理由はよく分からない。だが、その人の言う事一つ一つがいちいち気に触る。ポジティブな気持ちにならない。そして関係がギクシャクし問題が起こる。
常識的に考えれば、自分に嫌なことを言ってくる相手はただの嫌な人でしかない。自分の人生に介入して問題を起こしてくる人は危険人物である。だが、人生では望む望まざるに関わらず、この種の人物が定期的に登場する。正確に述べるなら、「自分自身がその出会いの意味に気づくまで」延々と登場する。
彼らはシャドウである。自分自身が気づいていない自分に気づくきっかけを与えてくれる人であり、「あなたはこのような性格を持っています」「あなたには未解決の問題があります」ということに気づかせてくれる存在である。
だからこそその人は鏡。「あなたはこの人を通じて自分自身について気づく必要がある何かがあります」ということに気づかせてくれる鏡なのだ。
だからこそ「自分が変われば」付き合う人が変わる
「争いは同じレベルの者同士でしか発生しない」現象もその本質は同じである。
同じ何かを共有しあう人と出会い、摩擦が起こる。その経験を通じて、実は自分自身にも同じものを持っていること。相手の立場も実は、自分と似たような立場であること。そんな「偶然の一致」を発見する。
他人の小さなことが気になり小さな言動にさえ敏感な人はやたら細かいことを指摘する人物が。上昇欲や社会的野心が強い人は、他人の成功や出世といったテーマに敏感であり自分の脅威となりうる人に対してアグレッシブであると同時に、（外面上はどうであれ）同じ属性を持つ他者を引き寄せる。
だからこそ着目すべきなのは、目の前の人を通じて起こっている現象それ自体というよりも、自分自身の気づきである。
なぜ自分の人生にこのような人との遭遇が与えられたのか？この人は自分に何を気づかせようとしているのか？それに気づくことによって自分自身に変化が起こる。するとどうなるか？出会う人が変わってくる。
出会いは自分に応じた出会いが用意されるからである。
最後に
人生で出会う人。それは何かしら、自分自身について教えてくれる存在であり、それに気づくまでは繰り返し、同様の人物を引き寄せ続ける。
人生の未解決の問題が、登場人物や起こるイベントを変えて繰り返し起こり続けるように、新たな人物を繰り返し繰り返し登場させ、「誰かを通じて」私たちに何かを気づかせようとする。
あなたが明確な理由や根拠なく「相性が悪い」と思っている人は実はあなたと似ている人なのかもしれない。そしてそれはあなたが「私にはそんな性質はありません」と否定したいと思っている部分を持っている人なのかもしれない。
理不尽な命令を繰り返し公私混同してくる会社の上司は、あなたが「ハッキリと言うべきことを言えない」という課題を教えてくれる存在かもしれない。「なぜこの人と縁があったのだろう」と不思議に思う人との出会いによってあなたは自分が人生でやるべきことに気づき始めるかもしれない。
表面上の出来事はともかく、その人がなぜあなたの人生に登場したのか？その必然性に気づくことができたなら、あなたの人生は更に飛躍を遂げることができる。その出会いは気づきのために用意されていたのだから。
