運命には、どうしても逃れられないものと、それから逃れられるものとあるんです。つまり、身をかわしきれないものとかわし得るものとある。かわしきれない運命は「天命」という。
中村天風
人生、当たり前かもしれないが、何もかも自分の思い通りにはならない。
入りたかった志望校の受験に滑り、死ぬほど好きだった人にフラれ、生きていくために意にそぐわない不本意な仕事に就く。
こんなふうに生きたい。そのために頑張ってきた。でも失敗してしまった。挫折してしまった。
実際のところ人生は、自分が思ったとおりに生きるのは難しくて、「こんなはずではなかった」と納得できないことも少なくない。
しかし思い通りにならないからこそ、想定外の連続だからこそ、予想しなかった人生がある。つまり「こんなはずじゃなかった」からこそ人生に意味がある。そう考えることもできる。
本当に自分が生きるべき人生は
仕事にしても人間関係にしても、それは自分の希望通りではないかもしれない。しかしそこには何らかの縁があって、人生で必要だからこそ、関係することになったのではないか?
そんなふうに考えて、仕事、人生、人間関係、今の人生を見つめ直してみると、そこに不思議な必然性を感じることができる。
「志望校の受験に失敗した、だからこそ・・・」
「好きだったあの子とフラレてしまった、だからこそ・・・」
「この仕事に就きたいと夢見ていたけど無理だった、だからこそ・・・」
結局は、人生思い通りにならないからこそ、意味があり、価値がある。
つまり思い通りにならなかった結果、今ここにある人生。そこにもしかしたら、この人生を生きるべき、何らかの理由が隠されている。
「うまくいかなかったこと」が結局は
思い通りにならない。期待通りにならない。これは一見するとネガティブなことで、何一つ良いことが見つからないように見えるかもしれない。
しかし自分が自分としてこの世界で生きていく。そこで何より重要なのは、自分という人生を完璧に追求していくことである。
自分は他の誰にもなれない。結局自分は、自分にしかなれない。その意味を考えれば、なぜ生きることになった人生そのものにも、何らかの意味があると考えるほうが自然である。
そしてそれは、自分が頭に思い描いた人生よりもさらにずっと、素晴らしいものになる可能性だってある。
人生の評価は最後の最後で十分だ
大切なのは人生がうまくいかなかったとしても。希望どおりの人生になっていなくても。人生をあきらめる必要はない。
起こったこと1つ1つ。目の前のこと1つ1つ。今は分からなくても、それらがすべて自分の人生にとって必要なこと。意味があること。そう信じて1日1日を生きていく。
そうすれば最後には、
「自分の人生は自分が夢描いたとおりにはならなかった。だからこそ最高の人生になった」
という逆転も起こりうる。つまりはそうかんたんに自分の人生を見切る必要はない。そういう話である。
出典
『ほんとうの心の力』