キャリア心理学の考え方に、プランドハップンスタンスセオリー(計画された偶発性理論)という考え方がある。
これは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア論で、「キャリアの8割は予期せぬ偶然の要素や出会いによって決まっていく」という考え方だ。
この考え方を初めて知ったときは衝撃を覚えた。
仕事のキャリアは偶然によって決まる。日々の何気ない偶然的な出来事によって、しかるべきキャリアへと導かれていく。思ってみれば、筆者のキャリア、人生もまさにそうだったからである。
偶然の出来事で人生が変わる
もともと私は英語教育に携わりたいと思い大学へ入学、教師の資格を取った。
教育実習は最高に楽しかったが、実際に臨時教員として教壇に立ってみると「これでいいのか・・・」という迷いや悩みが尽きなかった。
それで自分の未来に不安を感じ悩んでいたところ、偶然ある本に出会った。それによって、今の仕事を知ることになった。
紆余曲折もあったが、収入も教師時代から大きく伸び、おまけに自分が漠然と「こんな暮らしがしたい」と思っていたライフスタイルを実現できた。
思えば、私の今の暮らしは、完全に偶然のきっかけによって実現したのは紛れもない事実である。
偶然読んだ本、偶然会った人の話。それを追っていった結果、人生が変わった。それは完全ではないけれど、運命に感謝したい現実である。そしてそのきっかけは完全に偶然だった。それだけは確かだと思う。
人生は予想以上に偶然に影響されている
プランドハップンスタンスセオリーはキャリア理論としての考え方だが、計画された偶然によって決まるのはキャリアだけではなく、人生そのものに影響が及んでいく。
住む場所、ライフスタイル、仕事、人間関係、いろんなところに影響があって、
・なぜここに住むことになったのか?
・なぜ今のライフスタイルを送っているのか?
・なぜ今この仕事をしているのか?
・なぜこの人達と知り合うことになったのか?
・なぜこのような暮らしをしているのか?
このようなことを考えると、そこは、自分の意志だけでなく、限りなく偶然的な要素があることが分かる。
偶然のこと、たまたまによって人生が変わっていく。大切なことは、偶然の出来事をバカにせず、その偶然を追っていくことなのかもしれない。
偶然をチャンスにつなげるためには
クランボルツ教授によると、偶然をチャンスにつなげる、次の5つのことを意識することが大切だという。
1・好奇心。興味を持っていろんなことを模索する。
2・持続性。失敗に屈しない。
3・楽観性。何とかなるさ、明るい希望を持つ。
4・柔軟性。物事を決めすぎない。
5・リスクテイキング。上手くいくか分からなくてもやってみる。
目標は決めすぎず、常に柔軟性を持つ。
「絶対こうだ!」と決めつけず、「これもありかも」という、幅広い視点を持つ。それによって人生が思わぬ方向へ進み、よりよい未来へと進んでいく。
この考え方を知っておくと、目標に囚われることなく、無意識のうちに、望ましい未来を手にすることができるかもしれない。
あなたの人生にはどんな偶然が起こっているだろうか?