人生を送るのを困難にしているのは、どの行為も取り返しが利かないからだ。
何事も以前起きたのと同じようには起きないし、最も重要な事柄においてさえ、指針となる先例がないのだ。
どの行為も一回だけ行うのであり、誤りは修正できない。
サマセット・モーム
当たり前だが、人生は一度きりだ。自分という人生はもう2度と、経験することができない経験だ。
この意味で、自分が自分として生まれてきたことは、何らかの必然性がある。自分が自分でいることに何らかの意味があるはずだ。
人によっては「こんな自分は気に食わない。選べるなら、もっといい人生を送りたかった」と思う人もいるかもしれない。
何もかも思い通りにいかず失敗だらけ。
良いことが何一つない。世の中は不平等なので、いろいろ綺麗事では済まないこともあるだろう。だから人生の辛酸を舐めていると、「来世にご期待下さい!」と考えたくもなる。
しかし、どんなときも、自分の人生を過小評価してはいけない。
「自分の人生はこんなはずではなかった・・・」という人生だったとしても、自分の人生は自分の人生。
他の誰でもない、たった一度きりの経験だ。誰もそれを経験することはできない。あなただけしかできない経験なのだ。
それが意味することをじっくり考えてみると、なぜ自分が自分という人生を送っているか、興味深くなってくるはずだ。
人と比べる必要は一切ない。ただ、なぜ自分が自分として生まれてきたのか。そのことをじっくり考えたい。
そうすれば、人生のどんな体験もムダではないし、あなたしか生み出せない価値があることに気がつくはずだ。
そうなれば、人生捨てたものじゃない。「私の人生も捨てたものじゃない」ということに気がつくはずだ。
出典
『モーム語録』