お金は鏡。お金の扱い方を見れば、その人の本性が見えてくる

窓の向こうの女性

ゼニの世の中には、汚い膿がいっぱいたまっている。

ゼニに吸いつく悪いヒルがいっぱいうじゃうじゃ生きている。これは、けっしてゼニそのものが悪いのではない。

ゼニそのものは、便利な道具である。偉大なる人間の発明品である。問題は、それを所有する人間自身にある。

でも、人間はしらみではない。ちゃんと知恵も想像力もある。未来をつくっていく欲望というエネルギーをちゃんともっている。

きっと、住みやすい世の中ができるはずや。

青木雄二(『ゼニの人間学』より)

「お金」。

この便利な発明品が人類にもたらした恩恵は計り知れない。お金は人間の歴史において重要なイノベーションの一つであり、その「交換」機能によって、私たちの社会を築いてきた。

だが、お金は、いつも「肯定的な存在」としてそこにあるわけではない。そのまわりには、どうにも薄汚れたものがうごめいているように感じることがある。それに「吸い付くヒル」のような、きれいではない何かがまとわりついているような気がすることもしばしばだ。

なぜ?ここに一つの答えがある。それはお金はそれを持つ人の姿を映すということ。つまり青木雄二が言うとおり、問題はお金そのものにあるのではなく、「所有する人間自身」にあるということだ。

お金は「使い方」によって、善にも悪にもなる。それは、人間の中身を拡大し、あぶり出す鏡のような存在だからだ。

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はじめに

「この人は信用できる?」

あなたがそう感じたとき、何を基準に「信頼できるか」を判断しているだろうか?

学歴?肩書?言葉遣い?雰囲気?SNSのフォロワー数?もちろん、それらも判断材料の一つではある。だが、もし確認できるのなら、ぜひおすすめしたい判断軸がある。それが、その人の「お金の使い方」だ。

「フォロー・ザ・マネー(Follow the Money)」という言葉がある。お金の流れをたどれば、その人間関係や本音が見えてくるという意味だ。つまり、お金との関わり方に、その人自身(+その背景)が現れる、ということだ。

お金の使い方には、ごまかしが効かない。その人が「どこに」「どれだけ」お金を使っているかを見れば、価値観や性格が透けて見える。

たとえば、口では立派なことを言っていても、実際にはこんな人もいる。

・友人との食事で、割り勘に1円単位でこだわる人

・お土産やプレゼントは要求するのに、自分は何もしない人

・ごちそうしてもらうのは当然と思っていて、自分が払うつもりはない人

逆に、無駄遣いはしないが、気前よく人にふるまえる人もいる。お金の扱い方には、その人の「本音」がにじむのだ。

言葉より雄弁に真実を語るもの

人生とは、リソース(資源)の配分である。時間、体力、そしてお金。人は自分の限られたリソースを「何に、どれだけ投じるか」で、その価値観や人生観を示している。

中でも「お金」は、最も外から見えやすいリソースだ。この意味で、お金はその人を試す道具でもあり、信頼できるかどうかを見極める基準にもなる。

たとえば、仕事やビジネスでパートナーを選ぶとき。SNSのプロフィールよりも、普段の金銭感覚や支払いへの姿勢を見た方が、よほど正確な人となりが分かることもある。

お金は、私たちの生存本能と直結している。だからこそ、その扱い方には「素」が出やすい。誠実な人は、お金に対しても誠実だ。逆に、お金にルーズな人は、時間にも、約束にも、あなたへの態度にもルーズな可能性が高い。

お金の使い方には、その人の生き方の美学が表れる。日々の小さな買い物から、贈り物の選び方、税金の扱い、人との関係にいたるまで、お金は人の生き方を写し出しているのだ。

お金は拡大鏡。それは人の本質を「増幅」する

もう一つ、非常に興味深い説がある。それは、お金には、持つ人の性質を拡大する働きがあるということだ。

ケチな人が大金を手にしたからといって、鷹揚になるわけではない。むしろその逆だ。ますますお金に執着し、1円たりとも損をしないよう神経をとがらせ、「守銭奴」になっていく。

悪い人がお金を持てば、それを悪事に使い、人を陥れたり、快楽に溺れたりする。この場合、お金は「死金」となり、社会や人の役に立たないどころか、むしろ害をもたらす。

だが、誠実な人が大金を手にしたときはどうだろうか。そのお金は、清く、正しく、意味ある方向へと使われていく。人を助け、未来を支え、社会に生きる、まさに「生き金」として動き出す。

お金とは、単なる道具ではなく、人の内面を拡大・増幅する装置でもある。もともと謙虚な人は、お金を持っても謙虚なままだ。だが、もともと見栄っ張りな人は、お金を得たとたんに虚飾に走る。

つまりお金によって人格が変わるのではなく、人格が「拡大されて露わになる」。これが、「お金はその人の人間性を映し出す鏡である」と言われるゆえんである。そしてここに、「お金は必ずしも幸せの原因にはならない」理由も隠れている。

最後に

「お金の使い方に、その人の人間性が現れる」

これは青木雄二の鋭い指摘だ。

お金は道具にすぎない。だが、その道具がどのように使われるかによって、持ち主の性質は明確に現れる。

ケチな人は、とことんケチな使い方をする。鷹揚で余裕がある人は、使い方にも鷹揚さが表れる。この意味で、お金はその人の信頼性を測る「現実的なツール」と言えるだろう。

信頼は言葉ではなく「行動」によって示される。

「この人は本当に信頼できるのか?」

それを知りたければ、まずはお金への姿勢を見ること。お金に対して誠実であれば、おそらく他の面においても誠実な人である可能性が高い。

お金は、人の本性を映す鏡。この法則を知っておくだけで、心理学の知識がなくても、人を見る目が養われる。

もし気になる人がいれば、その人が「お金をどう扱っているか」を、ぜひ見てみてほしい。それはきっと、雄弁に、そして静かに、その人の“本当の姿”を語ってくれるはずだ。

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お金
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