神が創世の時に寛大さから想像され、授けられた最大の贈り物、その方の善に最もふさわしく、またその方がひときわ高く評価されているもの、それは意思の自由でした。
知性を備えた被造物ならばことごとく、しかも彼らのみ、かつても今もそれを授けられています。
ベアトリーチェ
自分を自分たらしめているもの。それこそが意思である。
現実世界の物事は思考から生み出され、思考は意思によって制御される。だからこそ「意思あるところに道あり」。この力をどのように使うか。それがまさに、自分という名の物語の運命を決定する。
はじめに
今この世に存在しているすべての物事の始まり、それは人の思考である。
誰かがそれを考えた。その結果それが生まれた。「思考が現実化する」正体は「○○したい」という人の意思である。「思う」「考える」「望む」といった行為によって私たちは現実を変えていくことができる。
まず最初に心の中でそれを見出し、現実世界で行動する。幾度の経緯を経て、それは現実化する。「私は○○へ行きたい」と明確に自覚した瞬間こそ、「私は○○へたどりつく」という未来が誕生するのである。
意思あるところに道あり
「私は○○する」
この意思の力にこそ、私たちの運命を決定付ける何かがある。
この世界に生まれ落ち、ゼロから成功をつかんだ歴史的な人物たちの足跡を調べてみると、「棚からぼたもち」のように彼らに成功が与えられたわけではなく、彼ら自身がその意図、意思を持つことによって、その成果をつかみとっていることがわかる。
その事実は教えてくれる。まず現実を云々する前に「私はそれをする」という意思を持つことの大切さを。
人生に道を創り出す
「全ては想いから始まる」という言葉はただの例えではない。したいこと。ほしいもの。願いが心に宿った瞬間、それが実現される可能性が生じる。
「○○をする」と決めるからこそ、それを実現するために必要な行動が見出され、行動を積み重ねていくことによって、やがて現実化する。決めることによって、自分自身の人生に新たに道を創り出す。
だからこそ人生は「想い」によって動かされる。「道を作らん」とする意思によって道ができるのである。
最後に
内から湧き出す自分の願いを自覚すること、それが自分の未来を創る力となる。
それを現時点で現実化できるかどうかは問題とはならない。問題は「私は○○したい」という意思を自覚できるかどうかである。それを自覚した瞬間、それが実現する未来が誕生する芽が生じる。
私たちができることは、その芽を大切に育てていくことである。結局のところ、すべての始まりは私たちの内側から生じるのだから。
出典
『神曲 天国篇』