恋愛の素晴らしさは意識的にせよ、無意識的にせよ、人間に相手を「信ずる」行為をやらせる点にある。
人間がもう一人の人間を徹底的に信じる点にある。
恋愛は相対的な情熱にすぎぬが、我々がその価値をみとめざるをえないのは、たしかにその点にあるのだ。
遠藤周作
誰かを好きになるということ、それは誰かを好きになることを通じて、その人を信じることである。
もとは他人の男女が出会い、そして人生を共に生きようとする。相手を信じ、自分が持っているものを与え合う。
その根本にあるのは人を信じようとする情熱だ。信頼なくして愛が成立しないのも、それが理由である。
だから信頼のない関係は愛ではない。信じられない相手を愛することなど、誰にもできない。
しかし、何を失おうとこの人のことが信じられる。信じたいと思う。そんな誰かがいるならば、それこそが愛なのだ。
誰かを愛するとき、あなたは全てを信じようとする。そして相手に確かな誠実さがあるならば、相手もあなたのことを全力で信じようとするだろう。
これこそが愛が成す、最も偉大な行為の一つである。そして、この世で経験できる最高の幸せである。
出典
『愛情セミナー』