恋することは苦しみである

悲しみの女性

ひとを恋する心は 咲いてはしぼみ また咲いてはしぼむ

死ぬまでそれをくりかえす

恋する心の歓びと悲しみの さだめを知り

わたしは人知れず 血を吐きつづける

ハインリッヒ・ハイネ

誰かに恋をする。

それは甘く、幸せの匂いがするものだが、実際のところ、誰かに恋をするということは、歓だけで終わることはない。

恋には苦しみが付きまとい、場合によっては、「恋なんかしないほうがマシだった」と思うくらいの苦しみが与えられることがある。

恋に苦しみ傷ついて、「こんなに苦しいならもう恋なんてしなくていい」と思っていたとしても、まるで交通事故に遭うかのように、突然誰かに恋をする。

誰かを好きになろうと思って好きになるわけではない。なぜなら恋はただ「落ちる」ものだからである。

恋は自分の意志や努力とは無関係で、決して思い通りになることはない。だから場合によっては、恋によって心から傷つく。

(むしろ好きで好きでたまらない人ほど自分のものにならない。)

好きになるだけなら苦しみはない。しかし、恋することは苦しみだ。だからこそ私たちは、誰かを好きになる意味がある。

それはやがて、愛の花になる可能性を秘めているのだから。

出典

『読まずには死ねない世界の名詩50編』(実業之日本社、2017年)