生きること。それは問題と直面することと同義であると言ってもいい。
望もうが望むまいが、「こんなことが起こるなんて・・・」という状況は生きている限り訪れる。人生で起こることのすべてが幸せ、そして喜びが溢れる出来事しか起こらないということはありえない。
だからこそ人生において私たちが問われること。それは望まない出来事や想定外の問題が起こったときの自分自身の態度である。
そこでこの記事では、「私は今、◯◯という問題を抱えています」という状況に陥ったとき、それをどのように解決していけばいいか?その思考法についてご紹介する。
問題は実は問題ではない。乗り越えた先、それは人生における重要な意味を成すことに気づくだろう。
はじめに
まず自分が今抱えている問題を解決するための前提条件として知っておきたい重要なことがある。
それは、「自分が今直面している問題の99.9%は既に他の人も経験している」ということである。つまり、自分が悩んでいる問題は他の人も悩んだ経験を持つ問題ということである。
すなわち、問題を解決するための方法は自分自身の完全オリジナルでなくてもいい。人様の経験を参考に、自分自身の問題を解決する手がかりを探るのである。ステップは次の通りである。
1.自分と同じ、もしくは似ている属性(立場、状況)で、同じような悩みを抱えていた人を探す
2.彼らがどのようにそこから抜け出したかを調べる
3.得た情報を参考に自分の場合はどうすべきかを考える
人の悩みは変わらない
あなたは中学校の国語の授業で、『枕草子』という日本の古典文学の「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」という一節を読んだ記憶をお持ちかもしれない。
『枕草子』は今からおよそ1000年ほど前に書かれた随筆なのだが、その現代語訳を読んでみるとそこには貴族社会の輝かしい生活の断片のみならず、私たち現代人の立場からも「あれ、この人は昔の人ですか?」と感じてしまうような、愚痴や悩みが登場する。
たとえば「この世で一番辛いこと。それは人から嫌われること」(『枕草子』角川ソフィア文庫、P211)という話が登場する。
人から嫌われずに好かれたい。でも人から嫌われてしまうこともあって悲しい。そんな思いを持つのは現代人のみにあらず。1000年以上前の人も現代人と同じ悩みを抱いていたのである。
自分の悩みは既に誰かも悩んでいる!
前置きが長くなってしまったが、重要なポイントは結局「人が悩むことには共通点がある」ということである。
生きることに付随する自分自身、人間関係、仕事、「人はここでつまずき、悩みます」という点は自分だけでなく、他の誰かも悩むことなのである。そして、この世界には多くの人がいる。
すなわち自分自身が悩んでいること。それは他の誰かが既に悩んだことである可能性が高い。そして、その悩みをどのように解決したのか?私たちは人様の経験を参考に自分自身の悩みを解決するヒントを見出すことができるのである。
そこでまず自分の悩みを解決するために取り組むことが情報収集である。書籍。ブログ。SNS。講演会。様々な媒体を調べ、自分と似たような立場で同じような問題に直面し、それを克服した人を見つけ出す。
健康問題なら健康問題。人間関係なら人間関係。仕事なら仕事。完全に自分の状況に一致する人は存在しないかもしれないが、それに近い人なら見つかる可能性は高い。
突破口はこうして見つかる
そもそも、自分の問題を完全独力で解決する必要はない。0を1にすることはベリーハードだが、既にある1を2にするのは比較的かんたんである。
だからこそ「自分の問題は自分にしか起こらない悲劇である」という考え方は捨て、「自分と似たような問題を抱えた人はいないだろうか?」と考える。そして「ではその人はどのようにその問題を克服したのだろう?」という視点で問題を捉えてみる。
100%完全一致で自分の問題と同様の問題を克服した人はいないかもしれない。だが自分の問題と極めて性質が似ている問題を克服している人を見つけることができる。突破口はそこから見つかる。解決策はそこから閃く。
人様の問題を自分自身の問題と照らし合わせ、問題解決のために参考にできる点を見出す。その上で自分はどうすべきかを考える。これこそが問題を解決する思考法である。
最後に
人生には当然のことながら、誰も経験していない未知の問題に直面する人は確かにいる。だが、私たちが直面する問題のほとんどは類似性がある。すなわち、誰かが既に経験済みの問題である可能性のほうがはるかに高い。
問題が起こるとその問題それ自体に意識と集中力を奪われがちだが、その問題は実は「自分にだけ起こった」特別ではないことを意識することはとても大切である。
「自分で抱え込まない」態度は何事においても重要だが、こと問題が起こったときはなおさら重要である。その問題は既に誰かが経験している。だからこそ人生で起こる問題をすべて、自分自身の力で解決する必要はない。私たちは誰かの力を借りてもいいのだから。