甘やかせばつけあがる点では、人間はすべて子供みたいなものだ。だから人に対しては寛大過ぎても、やさし過ぎてもいけない。
ショーペンハウアー
人は厳しい人よりも、優しい人のところに集まる。
人に優しくして人に好かれて、めでたしめでたしとなればいいが、人間関係はそんなに単純なものではない。
優しくしていればその優しさにつけあがって、どんどん調子にのってくる輩が現れる。彼らを甘やかしていれば、どんどんつけあがっていく。
優しさもある程度さじ加減をしないと、やがてはなめられて、優しさが仇となる。
なめられないから優しさが価値を持つ
優しさというのは人間の大きな美徳だ。
ただ、与えすぎるものではない。優しさのなかに、ダメなことをダメとけじめをつける、程よい厳しさが必要だ。要はバランスが肝心で、優しいだけの「いい人」ではダメなのだ。
普段は優しい。寛容で大らか。そういうキャラを演じつつ、ときに残酷さ、厳しさ、けじめを示す。
「俺をなめると痛い目にあうぞ!」という態度を示す。それによって、優しいけれどなめられない、いい人だけど無下にされない、ほど損しないキャラを演じることができる。
必要なときに必要なケジメを示す
結局は、優しさもつかいどころだ。いつも与えてはいけない。与え過ぎれば人をダメにしてしまう。それでは優しい人もその優しさに甘える人にも、両方に損になる。
もしあなたが優しいのになめられてしまう。それならその優しさは与えすぎな証拠。24時間優しい自分でいる必要はない。必要に応じてさじ加減をし、優しさを与える必要がない人に対しては、毅然と対処してもいい。
きちんとケジメをつけることであなたの優しさはますます価値を持つ。そして、人からなめられなくなったあなた自身も、さらに幸せになることができる。結局はそれが、一番大切なことなのだ。
出典
『幸福について』