一夜明ければ成功者、などという話は転がっていないものだと理解するところから始めよう。
名声と幸運が一気に手に入ることもあるかもしれないが、たいていはその前に、長い、困難な、誰にも感謝されない厳しい努力と献身の道のりが待っている。
長期に渡って努力し続けるつもりがないなら、もっと手の届きそうな目標に切り替えることをお勧めする。
『面白い物語の法則<下>』より
世の中には、いわゆる下積みもなく、何の前触れもなしに人々から注目され、短期間で誰もが仰天するような「実績」を作り上げ、「あっ」という間に輝かしい成功をおさめる人がいる。
きっと世の中には本当にすごい人がいるのだろう。しかし、だからといって「私だって短期間で成功できる!」と考えるのは早計である(その考えは、自我の肥大化を示す兆候であり、注意が必要だ)。
私を含む世の中の99%。つまり、大部分の人にとって、夢や成功をつかむ方法があるとすれば、それは一つだけである。それは、長期間に渡って誰にも知られない努力を自分自身を信じて継続し続けること。それだけである。
夢はかんたんには実現しない。成功は遠い道の先に待っている
努力は結果を裏切らない。ただし、それには「努力を継続できるなら」という条件がつく。
あなたも何かに挑戦した経験があるなら、きっと「努力しても簡単に現実は変わらない。むしろ、どれだけ努力を続けても、その意味を実感できなかった」と感じたことがあるかもしれない。
しかし、それはあなただけの話ではない。あなただけでなく、世の中の99%の人々が、「努力しても簡単には変わらない現実」を日々実感している。それがこの世界の現実である。
だからこそ、間違っても、努力さえすれば簡単に現実が変わること、夢をつかめること、成功できること、理想の人生を実現できること、などといった「過剰な期待」を持たないことである。
問われるのは気持ちの強さ
ただし、朗報がある。それは、「世の中は密かに努力を続ける人を、いつまでも下積みに甘んじさせることはない」という事実である。
いつそれが起こるかはわからない。しかし、あなたが本当にそれを実現したいと「強く」思い、誰に何と言われようと、現時点でどのような評価を受けていようとも、自分自身を信じて日々やるべきことを少しずつでも継続していくならば。
あるタイミングで、最初にあなた自身が気づき始めるだろう。あなたを取り巻く空気が、変わり始めたことに。
すると、あら不思議。今まで無駄だと思われてきたあらゆる試み、あらゆる努力が、実はそれをすることに大きな意味があったことに気づかされるのだ。
想像してみてほしい。あなたは歌手として舞台に立っている。しかし、観客は誰もいない。それでもあなたは歌い続ける。すると、1人、2人、少しずつ、あなたの歌を聴く人が増えていく。
だからこそ、本当に問われる問題は一つだけである。あなたが本当にそれをしたいのかどうか。その一度限りの人生で、それを実現したいのか。それだけである。
最後に
現実を変えたいなら、つかみたい夢があるなら。
私たちはそれを今すぐ、短期間で、簡単に実現できるという期待を捨てる必要がある。そして、長い長い夜を、やがて朝を迎えることを信じ、一人で孤独に過ごすことを覚悟する必要がある。
「そんなことはしたくない」というのは個人の選択である。
夢をつかもうと努力するより、今与えられているものに満足し、妥協して生きることも、現実的な選択の一つである。不満はあるけれど、ほどほどに満足できる。そんな人生だって、それはそれで十分である。
だが、もしあなたがその人生で「最高」を期待するなら、それ相応のテストをクリアする必要がある。あなたがごく少数に該当する、幸運な人でない限りは。
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