あなたの自然なセルフイメージは、“心の筋トレ”で変えられる。毎日できる5つのこと

森の中で光を浴びる女性

私たちの人生において、密かに、しかし確実に現実に影響を及ぼしているものがある。それが「セルフイメージ」である。

セルフイメージとは、自分に対する自己認識、つまり「私はこのような人物である」と自分を理解し定義する「内なるイメージ」を指す。

このセルフイメージは、私たちの思考や感情、行動にまで深く関わってくる。そのため、健全かつ自然なセルフイメージを持っているのであれば、大きな問題にはならない。

しかし、何らかの理由でこのセルフイメージが偏り、歪んでしまっている場合、私たちの人生にも歪みが生じることになる。

自然なセルフイメージを持つことは、自分らしい人生を生きるための土台である。そこで本記事では、自然なセルフイメージを育むために知っておきたい考え方、そして今すぐ始められる5つの「心の筋トレ」について述べていく。

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はじめに

「ノーを言えず、相手の言いなりになってしまう」

「仕事で正当な評価が得られず、実力以下の扱いを受けてしまう」

「いじわるな人を引き寄せてしまう」

こうした状況は、単なる不運や性格の問題ではなく、根本には“自分に対するネガティブなセルフイメージ”がある場合が多い。

セルフイメージが低いままであれば、あなた自身が無意識のうちに自分を不当に評価し、その結果として、他者もまたあなたを過小評価し、不当な扱いをしてくる。つまり、現実がセルフイメージに呼応して動くのである。

たとえあなたが意識していなくても、「私はダメな人間だ」「私は大切にされる価値がない」「私は幸せになってはいけない」などといった、自己否定的なセルフイメージを心のどこかに抱えている場合。

あなたは無意識のうちに、自分を軽視する人や、あなたを利用しようとする人間、あるいはビジネスの場であれば不利な条件を突きつけてくるブラックな相手を引き寄せやすくなる。

これらの出来事を表面的に見れば、人間関係の問題、仕事上のトラブルとして捉えることもできる。しかし、なぜそのような出来事が繰り返し起こるのか? なぜ似たような人や状況に巻き込まれてしまうのか?

その“原因の本質”を理解し、自分の内面を変えていかない限り、同じような問題は登場人物や形を変えながら、何度でも繰り返されるだろう。

セルフイメージを整えるための「心の筋トレ」5つの実践

では、どうすれば自分に対して自然なセルフイメージを持つことができるのか。大切なのは、「今すぐできること」から始めることである。

たとえば、もしあなたが自信のなさや、心のどこかで自分を否定する自分に気づいたとしたら、次に挙げる「心の筋トレ」を、今この瞬間から実践してみてほしい。

大きなことを始める必要はない。どんなに小さなことでも、始めればそれは着実にあなたの心に変化をもたらし始めるだろう。

「自己否定したとき」に気づき、立ち止まる

セルフイメージを歪めてしまう原因の一つは、私たちが自分自身に投げかける言葉や思考である。

「私なんて……」「うまくいくはずがない」「どうせ失敗する」「最悪だ」など、心の中で湧き上がるネガティブな言葉は、自己否定の言葉であり、セルフイメージにとっては遅効性の毒のようなものだ。ゆっくりと、しかし確実に、自己像を歪めていく。

だからこそ、まず大切なのは「気づく」ことである。ネガティブな言葉が頭に浮かんだとき、まずは「いま、自分を否定したな」と意識する。そのうえで、それ以上その言葉に耳を貸さず、一度立ち止まることを心がける。

最初は難しく感じるかもしれない。だが、「気づく」ことさえできれば十分である。それが、ニュートラルなセルフイメージを育てるための確かな第一歩となる。

自分の「悪い面」を再評価する

ネガティブなセルフイメージを持つ人の多くは、自分の短所を過剰に評価し、長所を見落としている。つまり、自分に対する認識が不均衡であることが多い。

しかし、あなたが「悪い」と感じている部分は、他の誰かにとっては「良い」と映ることがある。長所と短所は表裏一体であり、どちらから見るかによって評価は変わる。

たとえば、「優柔不断」と感じていた性質も、見方を変えれば「慎重で思慮深い」と捉えることができる。

「私の◯◯という部分は、本当に悪いことなのだろうか?」「もし、この部分に価値があるとすれば、それは何だろう?」と問いかけ、再評価してみよう。

視点を変えるだけで、セルフイメージは少しずつ健全な方向へと書き換えられていく。

「理想の自分」をイメージし、演じてみる

私たちは、「なりたい」と思う自分にしか近づくことができない。逆に言えば、理想の自分を思い描けなければその方向へ進むことも難しい。

ここで鍵となるのが、脳の特性である。人間の脳は、「現実」と「想像」の区別を厳密にはできない。この仕組みを活用すれば、「理想の自分」をイメージし、その人物になりきって振る舞うことがセルフイメージの再構築に役立つ。

たとえば、「人にノーを言えずに困っている」と感じているなら、「堂々とノーを伝えられる自分」を想像し、その自分として行動してみる。

小さな場面でかまわない。たとえば、ショッピング中に店員から勧められた商品を、笑顔で「結構です」と断る。それだけでも十分である。

このような「理想の自分」を演じる行動を習慣化することで、それはやがて“本当の自分”として心に定着していく。

「小さなポジティブ体験」を言語化して記録する

セルフイメージが高い人は、日常の中にある「できたこと」「うれしかったこと」「前進した実感」に敏感である。

その感覚は意識的に育てることができる。大切なのは、小さなポジティブ体験に意識を向け、それを言葉にし、可能であれば記録に残すことである。

たとえば、「今日は時間通りに起きられた」「会議で一言発言できた」「断りたい誘いを丁寧に断れた」など、どんなに小さなことでもよい。

日記やメモ帳に書き留め、自分の内側にある前進の証を視覚的に確認できる形にしてみよう。こうした記録の積み重ねが、「私はできる」「私は進んでいる」という感覚を育て、セルフイメージにポジティブな変化をもたらす。

自分に発する言葉に気を使う

自分を大切にするとは、自分に対して誠実であるということである。その最も基本的な形が、「自分にかける言葉」を意識することである。

他人には優しくできても、自分にはつい厳しい言葉を投げかけてしまう——そんな人は少なくない。だからこそ、意識的に自分に対しても愛情ある言葉を選びたい。

たとえば、一日の終わりに「今日もよく頑張った」「お疲れさま」と自分に声をかける。
これは決して自分を甘やかすことではない。

むしろ自分の価値を認め、自然なセルフイメージを育てるための、大切な行為である。

本当の変化は「内側」から引き起こされる

セルフイメージは変えることができる。それは、あなたがこれまでの人生で経験してきたこと、誰かから言われたこと、そして自分自身が身につけてきた思考のクセによって作られてきたものだからだ。

だからこそ、もしそのセルフイメージがあなたにとって望ましくない現実を引き寄せているのであれば、今ここからそのイメージを変えるための小さな行動を始めてみよう。

ここで紹介したセルフイメージを変える「心の筋トレ」は、決して大きな努力を必要としない。今すぐ誰でも始めることができる、小さな行動である。

この小さな気づきと、「小さな行動を起こしてみる」という選択を重ねることで、セルフイメージは確実に変わっていく。

私たちにとって本当の変化は、外側から引き起こされるのではなくむしろ内側から引き起こされる。あなたが自然なセルフイメージを取り戻したとき、あなたの現実もまた、自然に変わり始めたことに気づくはずだ。

最後に

先日、知人から興味深い話を聞いた。彼はフリーランスとして10年以上の活動実績を持っていたが、ここ数年ビジネス上の不調が続き、自分の実力に自信を失っていたという。

そんな中、とある企業から取引の提案があった。その報酬は、彼のスキルや実績からするとあまりにも不釣り合いな、いわゆるブラック案件だった。

なぜこのような取引が持ちかけられたのか?彼はふと思ったという。「もしかして、私は自分を過小評価し過ぎているのではないか?」と。

そこで彼は、自分のこれまでの歩みと実績を再確認し、企業に対してはっきりと伝えた。「その条件では、取引はお受けできません」と。

その結果、企業側は取引内容を見直し報酬を再提示してきた。それは彼の経験と実績に見合った、正当な条件だった。

自分を軽んじれば他人からも軽んじられる。内側と外側はつながっている。そして、外で起こる出来事の中には、内側から引き起こされたものも確かにあるのだろう。