苦心して仕事にはげむのは、たしかに美徳である。しかし、あまり苦心してあくせくしすぎると、本性を楽しませる心情を喜ばせることがなくなってしまう。
洪自誠
頑張って仕事に励み、苦労を経験するのは確かに大切なのことだ。しかし、苦労ばかり、苦しみばかりではいずれ心が折れてしまう。
この意味で大切なのは、仕事のなかに喜びを見出すことだ。
「楽しい!」
「面白い!」
という感情は間違いなく、人間が持つ感情の中で、最も創造的な力を引き出すパワーになる。それは仕事だけでなく、人生そのものを幸せにする力を与えてくれる。
結果はもちろん大切。しかしそれ以上に
無骨に仕事に励むだけでは、例え結果が出たとしても、心からその成果を楽しむことはできないだろう。
日本人は我慢や忍耐に美徳を見出すので、自己犠牲的に仕事と向きあいがちだ。
だからこそ、我慢しすぎず、適度に力を緩めることが大切だ。ゆったりと周りを見渡すと、自分がした仕事の姿が見えてくる。
それを見つめて悦に浸るのもいい。「これだけのことをしたのだ」という達成感を感じられるはずだ。その感情こそ、また新たに仕事に向き合うエネルギーになる。
この意味で仕事は人生で優先度が高い
この力に気づき、仕事を終えて、そこに「楽しかった」という思いを持てる人は長い人生を、幸せに生きることができるだろう。
なぜなら仕事は1日の3分の1。人によっては2分の1。非常に比重が大きいものだからである。逆に仕事が苦痛なら。楽しさを見出すことができないなら。人生はまさに苦痛になるだろう。
だからこそ仕事は楽しくなるように工夫する。その努力が意味を成さないのであれば。転職を検討した方がいいだろう。
最後に
仕事は楽しいのが一番。苦労を重ねて続けていくというのは、もはや時代錯誤である。
なぜなら世の中にはたくさんの選択肢がある。別に苦痛にまみれる仕事にこだわる必要は、1ミリもない。
せっかくの人生だ。どうせ何かの仕事をするのなら楽しいか。最低限苦痛を感じないかどうか。それくらい、わがままを言っていいのである。
出典
『菜根譚』