人間関係とは自然にできあがるものではない。求めるものである。いい友、安らぎを与えてくれる友には自分から積極的に近づくことだ。それが前向きということでもある。
斎藤茂太
あの人と出会えた、だからこんなことがあった。こんなふうに自分は変わった。
人との出会いは人生を変える。文字通り、完璧に変える。つまり、人と出会うことは人生の可能性を広げることなのだ。
人と出会うことでしか、気づくことができない、経験できないことが、たくさんある。
はじめに
一生の付き合いとなる深い友、胸と股間を熱くする恋人や結婚相手、人生の進むべき道を示してくれる師匠。
人との出会いが人生を拡張させ、人生という経験を豊かにしてくれる。だから、出会いやご縁は大切にしたい。
とはいえ、求める気持ちなくしては、出会うべき人と出会うことができない。心を閉ざしていては、どんな良縁も目の前から消えてしまう。大切なのはいつも心を開いて、出会いのチャンスを寛容に受け入れることだ。
そうしていれば、時々悪縁もやってくるが、出会うべきとき、出会うべき人と出会い、それによって、人生が自然に拡張していく。しかるべき体験を経験することができる。
だからこそ、求める。
すべての始まりは私たちの心から、始まる。
「人と出会いたい」
この気持ちから、それは始まる。
私たちが
「今は、誰ともつながりたくないです」
「一人のほうが、気楽です」
と心が内向きに、閉ざされているとき。どのような出会いが与えられたとしても、それは完全に通り過ぎる。
だがそれがどんな環境であれ、どんな状況であれ、私たち自身が、
「今、必要な出会いを求めます」
と望むとき。それは与えられる。
なぜその出会いは「遅すぎず早すぎず」なのか?
私たちがそれを望むなら、人生は一瞬たりとも遅すぎず、そして早すぎず、必要な出会いは用意される。その出会いは双方のためになるからこそ、必要があるからこそ、用意される。
「私は今出会いたいけれど、相手は違いました」という出会いはない。お互いがお互いの成長のため。気づきのため。その出会いは用意されている。
だからこそ「人間関係は自分を映す鏡」という表現はまさに至言である。偶然のようなその出会いでさえ、長い人生を振り返ったとき、その出会いが必然であったことに気づくのは、まさにそのとおりなのである。
だからこそ、「その出会いの結果」私たち自身の人生は変わっていく。それと同じく、相手の人生また、その軌跡が残るのである。
最後に
私たちは自らを変えていくことはできる。だが、本質的な意味で私たちが変わってしまうとき。そこには必ず、誰かとの出会いがある。
そのかたちが直接であれ間接であれ、誰かの存在はつねに、私たちの人生の軌跡に刻まれていく。
だからこそ心は開く。新しい出会いを歓迎する。それは私たちにとっても、そして出会う相手にとっても、双方意味がある出会いである。
そして、その出会いからしか、学べないことがある。気づけないことがある。私たちは互いに、出会いによって人生という物語を、紡ぎあげているのだから。
出典
『いい人生には「生き方のコツ」がある』