しばしば誤解されますが、「仕事」そのものには、価値などありません。仕事そのものが価値を持っているのではなく、その仕事をすることを通じて、自分自身が価値を発揮するのです。
飯田史彦
当たり前の話だが、ごく一部の人をのぞいて、私たちの多くは生活していくために、お金を稼ぐ必要がある。そのために仕事をする。
私たちの大部分の人にとって、仕事とは「しなければならない」ものであり、まず第一は「生活のためにするもの」という認識かもしれない。
仕事をすることで、生きていくためのお金を稼ぐ。生活のためにお金を稼ぐ仕事であれ、そこには必ず、もう一つの側面がある。それは、その仕事をすることによって「自分と世界をつなげている」ということである。
はじめに
仕事をする。その報酬を受け取る。仕事を成すことによって、それが誰かのためになることでお金を受け取る。
仕事をすれば、お金という「目に見える」報酬を受け取ることができる。それはこの現実世界を生きていくための尊い行為であると同時に、私たちは仕事をすることによって他者と通じる。
そして、他者を通じて自分を知る。その結果、私たちは仕事を通じて、自分ができること。できないこと。自分がやるべきこと。やるべきでないこと。自分の課題に気づく。
仕事をすることは確かに、この世界で生きていくために必要なアクションの一つである。それと同時に仕事は、私たちがこの世界で存在することになった根源的な「理由」に気づくための、経験でもある。
それは気づきの扉を開く
私たちは悩む。
「なぜ仕事をしなければならないのか?」
「なぜ、何のためにこの仕事をしているんだろうか?」と。
それは苦しく、辛い経験かもしれない。だが私たちがそのような問いを発するようになった段階ですでに、その仕事はあなた、そしてあなたの人生にとって大きな意味を成している。
こうして私たちは気づきを求め始める。自分とは何者なのか?そしてこの人生でどう生きるのか?気づきを、求め始める。
仕事をしなくても自由に暮らせる生活
「仕事をしなければならない」
「その仕事が辛い」
「今すぐ辞めたい」
そんなとき、私たちはFIRE(早期リタイヤ)することに人生の希望を求める。だが、これだけは断言できる。
もしあなたが能力と幸運に恵まれた結果FIREに成功し、月々の生活費を楽々払いつつ、かつ毎月数十万円のお金を趣味や遊び、あなたがやりたいことに自由に使える生活が実現できたとき。
最初は楽しい。しばしの間、働く必要のない「自由」な生活に酔いしれるだろう。そして、やがてあなたは「物足りなさ」や「空虚さ」を感じるようになるだろう。欠けている「何か」を感じるようになるだろう。
最後に
もしあなたが今、与えられた仕事に満足できずにいるならば。仕事に嫌気がさしているならば、「(辞められるなら)今すぐその仕事を辞める」というチョイスがある。
その一方で、辞めたくても辞められないのであれば、「その仕事は何かの縁があってあなたに与えられた」という視点で、その仕事を見つめ直す良い機会かもしれない。
なぜ、いろいろな仕事があるなかで、あなたの人生でその仕事、その職場と縁が生じたのか?なぜその仕事を経験することになったのか?その仕事があなたの人生や、あなたの周囲の人にどのような意味があったのか?
大切なのはその仕事はあなたの長い人生の一時に与えられた気づきの経験である。それを無意味にすることもできるし、大切な気づきの機会にすることもできる。
せっかくの機会である。良いことも悪いことも、学べることを学んでおこう。
出典
『ソウルメイト』