未来。それは「今この場所」からの歩みによって創られる。それまでの過去がどうであれ、今この場所からどこへ向かうのか?それだけは、私たち自身に選択権が与えられている。
だが問題が一つある。それは、私たちが過去の経験や出来事に縛られてしまう、ということである。
人生で経験した失敗や後悔、痛みが心に影を落とし、それが未来への一歩を踏み出すことをためらわせる。過去に囚われることで、時に私たちは足を止めてしまう。
しかし、どのような過去であれ、過去は過去として、決して変えることはできない。私たちにできることは、「今ここ」に焦点を当て、それから続く未来を選び取ることである。
過去がどうであれ、それは今の自分と繋がっている。しかし、過去に囚われることなく、その影響を「学び」に変え、未来に生かしていくことが大切ではないだろうか。
過去を変えることはできないが、過去に縛られることは選ばないことができる。それは、未来を閉ざすことではなく、むしろ未来を広げることになる。
過去は過去としてそれでよい。だが、それと同時にもっと今に意識を向けて、今の自分に与えられた力を信じることが大切である。
はじめに
「自分」という存在。それは過去の総決算である。突如として「今」が存在するのではなく、過去の積み重ねによって、「自分」という存在がここにある。
そして、今住んでいる場所、今している仕事、今周囲にいる人々。それらはすべて、過去という道のりを経た結果、存在しているものである。
この意味で、「今ここ」の自分に納得がいかないとき、今すぐ何かを変えたいと願うとき、「過去に原因がある」と考え、過去を見つめ直すことは、私たちの人生を再生させるための大切なプロセスである。
そして重要なのは、過去が未来を規定しないという事実を知ることである。これまでの過去がどうであれ、今この瞬間から、その先の未来を変え始めることはできる。過去は確かに私たちを縛るが、決して未来を縛ることはない。自分がそれを許さない限り。
「今を生きる」ことで、未来を創造する。
未来を描く大切なカギは、「今を生きる」ことである。意識は過去ではなく、「今ここ」に向ける。
私たちはふと、昔のことを思い出す。そして、「昔はこうだったから、これからの自分も」と自己規定してしまう。それはすなわち、自分で自分の未来を制限する行為である。そうではなく、意識は今ここに向けるべきだ。そのためにできることは、確かにある。
例えば、「今あるもの」に意識を向けることがその一つである。今、自分が持っていないものではなく、持っているものを意識すること。今、自分に縁がない人々ではなく、今、自分に縁がある人々に意識を向けること。
「現状」に目を向け、そこに少しでも「ポジティブ」な部分を見つけ出そうと意識する。これはとても大切な習慣である。それは、「今」に意識を向け、「あるもの」にポジティブな何かを見出そうとする思考習慣を育むことである。
あるものに意識を向ければ、さらにあるものが顕現し始める。今ここから思考の習慣を変えていく。それこそが、未来を自ら創造していく重要なプロセスである。
過去を認め、未来へとつなぐ考え方
とはいえ、過去を容易に意識から手放すことは難しいかもしれない。だが、それは可能である。「過去を忘れるのではなく、過去を認め、自分の力に変えていく」ことによって、過去は今から未来に続く、「橋」の役目を果たす。
それがどのような過去であれ、否定する必要はない。必要なことがあるとすれば、過去に起きたそれぞれの出来事に、どのような役割があったかに気づくことである。
私の好きな言葉に、「人生万事塞翁が馬」という言葉がある。「起こったことが、どうなるかはわからない」という意味の、含蓄深い言葉である。
過去の致命的な出来事が実は、その後、「あのときあの出来事があったおかげで」と、マイナスがプラスに転じることはしばしば起こる事実である。
物事には原因があって、結果がある。ゆえに、私たちが知っておくべきことは、原因と結果への理解である。原因は過去であり、結果は現在である。原因に意味を見出すことができれば、それは今に通じ、やがて未来へ通じる人生の気づきとなる。
今、ここから始める豊かな人生
「今を生きること」はまさに、今ここから始めることができる。あなたは今、そこにいて、何かに意識を向けている。そのとき、していることに意識を向けよう。
食事をしているとき、歩いているとき、今そこにある周りの音や香りなど、「感覚」に意識を向けよう。そして、それを感じるようにしよう。これは「マインドフルネス」と呼ばれる、意識を今に向けるための習慣である。
意識を今に向けるために、(しても良いが)わざわざ瞑想する必要はない。難しい儀式のようなものは必要ない。それは姿勢であり、習慣である。
「今ここ」を大切にし、感じ、思い、生きていく。このシンプルな積み重ねが、やがて未来という「今」へと通じていく。「豊かな人生」は、想像や概念ではない。今ここから、感じ、見出すものなのである。
最後に、
私自身、過去は過去として尊重したいと考えている。しかし同時に、過去に囚われてはいけないとも考えている。過去は過去であり、今は今である。昔がどうであれ、今ここにいる私は、今の私である。
そして、これから時間とともに紡がれる未来もまた、今ここにいる自分とともに、生まれていくと考えている。それはあなたも同じはずだ。
今のあなたには、選択肢がある。何に意識を向け、考え、行動するか。それらをあなたは選ぶことができる。過去がどうであれ、それは過去である。
今、あなたはできる。あなたが意識を向けるものを選び、あなたにとってふさわしいことを考え、今ある選択肢の中で最善の選択を選び、行動するかしないかを選ぶことができる。
だからこそ、人生はいくらでも変わりうる。あなたがその事実に気づくことができるなら。