人生は困難なものである。
これは偉大な真実、もっとも偉大な真実の一つである。それは、ひとたびこの真実を悟ればそれを超越できるがゆえに、偉大な真実なのである。
いったん人生が困難なものであることを知る、それを本当に理解して受け入れるならば、人生はもはや困難ではない。
いったん受け入れられれば、人生が困難であるという事実は問題ではなくなるのである。
M・スコット・ペック
人は人生に様々な期待を抱く。そして期待を裏切られ、失望する。
しかしこれは特別なことではない。誰もが一度は通る道である。というのは、人生はそもそも、希望に満ちたバラ色のものでなく、困難に満ちたものだからだ。
私たちは無意識のうち、「人生とはこうあるべきだ」という思い込みを持っている。その思い込みが現実に近ければ、人生何があろうとそれなりに上手くやっていける。
この意味で人生で失敗しないコツは、人生がそもそも困難なものであることを認識することから始まる。
もし人生が最初から難しいもので、苦難が伴うものであったとしたら、別に人生が上手くいっていなかったとしても、何の問題にもならない。
そもそも人生が上手くいくほうが珍しくて、人生は苦しみの連続だと思えば、どんなことがあっても、「そういうもんだ」と受け入れることができる。
つまり大切なのは人生に対する期待値を下げることなのだ。
自分の人生はもっと成功していいはずだ。もっと幸せになっていいはずだ。このように人生への期待値を高くしてしまうと、どんな小さな不満でさえ、我慢できなくなっていく。
しかし、人生はそうそう上手くいかないと思っていれば、どんな失敗も挫折も、それほど抵抗感なく、受け入れることができる。
現実問題、人生はなかなか自分の思った通りにはならない。想定外、予想外の連続だ。
だから、自分の人生に期待するのも一つの生き方であるけれど、人生はそもそも難しいものだと思っておくほうが、案外バランスよく生きられるかもしれない。
出典
『愛すること、生きること』