苦労とは、すればいいというものではない。苦労がすっかり板につき、顔にまで出てしまう人生は不幸である。苦労を積み重ねるのではなく、日々の幸福を積み重ねることこそが、真の人生経験なのである。
浅田次郎
人生のよくある錯覚の一つに、「苦労すれば幸せになれる」というものがある。
たしかに、真面目に生きようとする限り、今よりもっと幸せになろうとする限り、苦労することになるかもしれない。
ただここで冷静に注意したいのは、苦労することそれ自体には価値がない、ということだ。すなわち、苦労したから幸せになれる。苦労したから人生がうまくいく。これらはすべて錯覚である。
よくよくあなたが冷静に世の中を見渡してみると、世の中には全く苦労していないのに、この世を我が世の春が如く、幸せに生きている人がいることに気づくはずだ。
同時に、人生苦労に苦労を重ねているのにも関わらず、全く幸せになれず、その顔からは不幸がにじみ出ている人がいることも分かるはずだ。
そう、それこそが現実の答えである。苦労はただすればいい、というものでもない。苦労しなくても幸せな人はいる。そして、苦労しても幸せになれない人もいる。
だからもしあなたが、「私は幸せになりたい。だから苦労しなければいけない!」と考えるようなら、今すぐその考え方を改めることをおすすめしたい。
苦労を願うかわりにどうすれば今、1日1日、幸せを積み重ねていけるか、幸せ探しを始めることをおすすめしたい。意識を向けるべきは、苦労ではない。今そこにあるかもしれない幸せである。
何にせよともかく、間違っても、「苦労しなければ幸せになれない!」と考えることはやめたほうがいい。できる限り早急に、捨ててしまった方がいい。
あなたが本当に幸せになりたいと願うのであれば。
出典
『絶対幸福主義』