お金で家(home)は買えても、家庭(home)は買えません。お金で時計は買えても、充実した時間は買えません。お金で地位は買えても、尊敬や人望は買えません。同様に、お金でモノは買えても、心までは買えません。
藤山邦子
私たちが人生で抱きがちな最も大きな幻想がある。それは、「お金さえあれば、人生何もかもうまくいく」という幻想である。
お金はチャンスだ。選択肢だ。そして可能性だ。この意味で確かに、お金はないよりあった方が絶対いい。お金があったほうが豊かで、幸せな生活を送れる可能性が確実にアップする。それは否定できない事実である。
だからお金をバカにしたり、お金なんてなくても幸せに生きれるなんて考え方は、やはり現実離れしていると言わざるを得ない。だが「お金さえあれば」という考え方の行き着く先は要注意である。
はじめに
お金は大切である。必要な範囲で、お金を追いかけ豊かさを求めることは、私たちに与えられた権利である。
しかし。お金さえあれば何もかもうまくいく。幸せに暮らせる。そう信じたいところだが、現実はそこまで優しくない。なぜなら、人生で本当に価値があるものを、お金で手に入れることができないからだ。
例えばあなたが孤独で寂しさを感じているとき。心から誰かにそばにいて欲しいとき。
お金さえ払えば、レンタル彼女やレンタル彼氏をオーダーしたり、キャバクラやホストクラブに行けば、買った時間だけは、誰かにそばにいてもらうことができる。
しかし、心からあなたのことを心配し、気にかけてくれる人を、お金を買うことができない。そう、本当に大切なことであればあるほど、それはお金の力ではどうしようもならない。むしろ、お金の力を過信すればするほど、お金の力で苦しむ羽目になる。
お金の有無に関係がない本質的なもの
お金は必要なものではあるけれど、お金さえあれば何もかもうまくいくと考えるのは要注意である。「お金で手に入れることができるもの」とは実のところ、「お金がなければかんたんに失われるもの」だからだ。
そして重要なのは、あなたの人生において本質的に自分とは何者であるのか?幸せな人生とは何なのか?それを教えてくれるのは、むしろ「お金がなくても今自分が持っているもの」や、「お金がなくてもできること」なのである。
それらはあなたにとって「本質的なもの」なのである。実のところ、そこにお金の有無は関係ない。
必要範囲の豊かさや自由さを手にするために
お金がなくなったら今すぐあなたのもとを離れていく人は、本当にあなたの人生において大切な人だろうか?お金がなくなったらできなくなることを、その後の人生であなたはし続けたいと思うだろうか?
周りをよく見渡してみよう。お金がなくてもあなたと一緒にいてくれる人。お金がなくてもあなたが楽しいと感じること。それこそが実は、あなたにとって、何物にも替えがたい、大切なものなのである。そこにお金は関係ない。
お金で可能になることはたくさんある。だが、それらを追求した結果気づくのは、自分にとって必要範囲の豊かさや自由さがお金で実現できるならそれで十分、という話である。そして人生でつながっている本当に大切な人。大切なことは、お金の有無に関係がない、ということである。
最後に
お金は確かに必要なだけ手にしていい。だが、「お金があれば偉い」とか「お金がないから人生は◯◯である」と考えるのは適切ではない。お金でつながる関係はお金の有無でやがて途切れる。お金は人生において重要である。だが万能ではない。
必要なだけお金を追い求めることは問題ない。だが結局のところ、人生で問われるのはそのお金を使って何をするのか?お金を使った結果どんな人生を送るのか?そこなのである。
お金は道具である。道具は正しく使ってこそのものなのだから。
出典
『ビジネスで大切なことはすべて小学校までに学んでいます – 仕事と人生の原理原則 -』