綺麗な言葉は確かに耳障りがいい。ただ、それを鵜呑みにしていると

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面と向って人を褒めたがるやつは、影に回ると悪口を言いたがる。

荘子

世の中には、綺麗事というものがある。

「自分のことよりもまず、人のことを考えなさい」

「人として一番大切なのは、人格的成長なのです。お金ではありません」

「仕事は人のため。人から感謝されれば成功できる」

など、その類の言葉で、それは確かに、一面では間違っていない。

何より綺麗事は耳障りがいいので、本当のことを言うよりは、綺麗事を言って、お茶を濁しておいた方が、処世的には失敗が少ない。

しかし綺麗事を心から信じるのは決して、賢明とは言えない。なぜなら、綺麗事を述べつつも、裏では言っていることとやっていることが全く違う人間が、この世の中にはたくさん存在しているからである。

具体的な例を挙げるのは差し控えるが、この世界において、綺麗事をそのまま鵜呑みにしていると、綺麗事を吐く人間の養分になるだけである。だからこそ大切なのは、自分の頭で考えることである。

もちろん、表立って「あんた、それは綺麗事でしょ」と否定する必要はない。ただ、自分の頭で考えて、それが本当に正しいのか。それとも間違っているのか。それを、自分自身で判断することである。

世の中、綺麗事が全て、間違っているわけではないのもまた確かだ。ときに、綺麗事が正しい場合もある。だからこそ「自分の頭で考える」ことが大切である。

遅かれ早かれ、自分の頭で考えず、人が言っていることを鵜呑みにしていれば、誰かのための養分人生になることは避けられない。それが嫌なら?そう、つまりはそういう話である。

出典

『荘子雑篇』