あなたのまわりに、
「この人は気に食わない!」
「理由はわからないけど、ともかく嫌い!」
という人物はいないだろうか?
あなたが、
「自分の成長?興味ないね」
という場合、この話はあなたの役に立たないが、
「私は日々少しでも自分を成長させて、自分の人生に意味を見出したいです」
と考えている場合。この視点を知ることで、あなたの視野を広げるという意味で、価値を持つだろう。
はじめに
私たちは、私たちの「感情」や「価値観」、そして「自分自身」を周囲の人に投影する。
あなたがイライラしているとき、なぜかあなたをよりイライラさせる人が現れる。あなたが不安なとき、よりあなたを不安にさせるような人が現れる。挙動の一つ一つがあなたの感情を刺激する人が登場する。それはただの偶然ではない。
そしてここからが大切なのだが、あながた普段感じているにも関わらず、あなたが「その存在を認めようとしなかった感情」は、他者を通じて、あなたにその存在を気づかせようとする。
その正体はあなたの「影」
例えばあなたの職場に、やたら細かいことを指摘し、あなたの気分を著しく害する上司がいるとする。あなたはその上司の一言一言が異様に気になる。そして、
「この人は嫌だ」
と、強い嫌悪感を持つ。
この現象を普通に考えるなら、
「この上司は嫌な人です」
と考え、そこで思考をとめることができる。
ところがである。世の中には細かい上司はどこにでもいる。そして他の人はその上司を異様なほどは嫌っていない。にも関わらずなぜあなたは強い嫌悪を感じるほど、その上司が嫌なのか?
ここであなたが、
「もしかしたら私自身、人に細かすぎるところがあるかもしれない」
という視点を持ってみると、なぜその上司があなの身近に用意されたのか?意味を見出すことができる。
それはいわば「隠された」自分
私たちは自分自身を他者に投影する。そして、自分が持っているにも関わらず、それを持っていることを認めたくない場合。「他者という鏡」を通じて私たちはそれを見る。この仕組みを心理学では「影」と言う。
「影」というのはユングという心理学者が提唱した概念で、
・あなたが「これは私ではない!」と認めたくない部分
・あなたが人生でそう生きたいと思ってもできなかった部分
を表すものである。
例えば、あなたはある特定の人物に対して、特に思いつく明確な理由もないのに、なぜから「この人は嫌い」「理由はわからないけど、気に食わない」という感情を抱いたことはないだろうか?
ある人の容姿(ファッションも含めて)に嫌悪感を感じたり、生き方や考え方に、激しい反発を感じたことはないだろうか?それらは、あなたが「普段意識から消している」あなた自身の影である。
なぜそれに気づく必要があるのか?
大切なのは「それでどうした?」と言う話である。
あなたが「影」という視点を持つ意味はシンプルである。その情報は、あなたが自分についてさらに知り、必要なことに気づき、成長するための栄養である。
難しい言葉でいえば、「あなたが「これは私ではない!」と認められない自分(影)を統合することによって人間的な成長を促すことができる」という話である。
ようは、あなたが「影」という存在を知ることで、身近に起こる様々な出来事は決して無意味な出来事ではなく、すべてそこにあるものは必要があるからそこにあることに気づくことができるのだ。
最後に
自分のことはわかっているようでわかっていない。そこで自分についてさらに知るためのヒントが「影」である。
「影」を通じて自分が見ないようにしているものに気づく。それはたしかに受け入れ難いものかもしれないが、「そうか、確かにそれは自分の一部だ」と気づきを得ることであなたの精神は一皮むける。
あなたはそこで、新たな自分と出会うのだ。