長く羽を休めて伏している鳥は、より高く飛び上がることができる。他より早く開いた花は、散るのもまた早い。
このことさえ知っていれば、人生の途中で投げやりになることもないし、成功を求めて焦って失敗することもない。
雌伏のときや臥薪嘗胆の経験は、人生において大事な要素といってもいい。そういう時間を過ごして初めて、大きく飛躍することができる。
野村克也
人生には何度かピンチが訪れる。
何をやっても裏目に出て、努力したことが、かえって自分のクビを絞めてしまうような、理不尽な出来事が連続して起こる。
何をしても裏目に出る。そんなときは、状況を良くすることを、思い切ってあきらめた方がいいかもしれない。なぜならそれが、自然のサイクルだからである。
ダメなときはダメでいい
何をやっても上手くいかない。
それならいっそ、チャンスにそなえて、じっと身を潜めて戦う力を休めておいた方がいい。自分の人生を見つめ、雌伏するのだ。
そして、風向きが変わったとき、蓄えてきた力を開放し、また飛び立てばいいのだ。
すると、不思議なことに、あらゆる状況が変わって、思うように上手くいくことに気がつく。だから、ダメなときはそれでいい。ダメな状況を変えようとしないで大丈夫なのである。
ツキはまたやって来る
逆風に逆らっても力だけ消費して、せいぜい飛ばされないようにするのが精一杯だけだ。それならいっそ、逆風に逆らわず、避けていけばいいだけだ。
自分の意志で出来ることがあるとしても、意志は結果を保証しない。上手くいかないとき、逆風の時期は、ただそんな時期なのだ。
逆風に逆らうより、ただ休めばいい。休んで、また力を蓄えていけばいいのだ。人生再び、チャンスは必ず巡ってくるから。
最後に
人生には訪れる季節ごと、「それをするのが最もベストです」ということがある。
人生に逆風が吹き荒ぶとき。無理に前進する必要はない。じっと力を蓄えて臥薪嘗胆。来るべき時を信じ、自分に何かを少しずつ、蓄えていけばいい。
やがて逆風が止んだとき。そのときこそ前へ進めばいい。じっくり蓄えてきたものを、放出すればいい。すると驚くほどその道程は快調である。
進む。休み、力を蓄える。すべては必要な、サイクルなのである。
出典
『野村克也の「菜根譚」』