この世の中はすべて舞台。男も女も皆役者。
W・シェイクスピア
この世界には、様々な人生がある。
ある人は都会に生まれ、都会で暮らす。またある人は、田舎で生まれ、都会で暮らし、田舎で老後を迎える。
人がいれば十人十色。そこには様々な人生がある。問題なのは、自分がどんな人生を送るのか、ということだ。
人生予定説
「人生はこういうものだ」という考え方がある。
ある人たちは「人は自分の生き方を決めてこの世に生まれてくる」と言う(1)。それはつまり、「人の一生はあらかじめ決まっている」という考え方と言える。
彼らの考え方によると、人は、
・どこで生まれるか
・どんな両親を持つか
・どんな人と関わるか
・何の仕事をするか
・何を経験するか
など、人生で起こることを自分で決めて生まれてくると言う。
彼らによると、人の人生の大枠(だいたいのこと)は「生まれたときからある程度決まっている」と言う。つまり人には大枠の運命があって、それを全うすることこそが人生そのものという考え方だ。
幼児期の環境と生き方
この考え方を補足するのが心理学の理論だ。
心理学の考え方によると、幼少期の体験がその人の人生に決定的な影響を与えると言う。幼少期における体験がその人の人生の骨格を作り、それが大人になった後の人生を規定していく。
確かに、人は生まれて大人になるまで、ある程度の環境が決められている。親、兄弟、暮らす土地・・・etc。
「三つ子の魂百まで」のことわざのとおり、
・親の教育方針
・家庭環境
・地域の価値観
など、自分ではコントロールできない、様々な要素によって、影響を受けているの事実である。
人生は自分で「創る」?
一方で、ある人たちは「人生は自分が作りあげるものだ」と言う(2)。
彼らによると、人は自分が思うように生きることができ、意志によっていろんなことを実現できると言う。それは「人は自由な存在であり、その意志や努力によって自らの運命を作れる」という主張である。
ある思想家は、「人が経験することはすべて、その人自身が引き寄せている」とさえ言いい切る。つまり人は決して運命の虜囚ではなく、自分自身ですべてを決めることができる存在であるという。
このように、人生についての考え方は様々だ。「運命」という言葉があるように、人生は生まれたときからあらかじめ決まっているのか。それとも、自分の努力や行動次第で思うようになるのか。一体どちらが本当なのか?
行動が人生を変えるのか
たとえばあなたが、
「幸せになりたい」
「成功したい」
「人生をよくしたい」
などの前向きな思いを抱き、行動を起こすとする。
例えば、仕事に役立つ資格の勉強をしたり、カウンセリングを受けたり。笑顔で人と接したり・・・。このような行動の結果、人生が以前よりもよくなったように思えることがあるのも確かだ。
「勉強を続けた結果、収入がアップした」
「いろんなところへ顔を出すようにしたら、新しい人間関係ができて、結婚相手と出会えた」
「頑張って上手くいったら、自信ができて、こころに余裕ができた」
このような結果、変化を得られることも多々ある。この意味で、人生とは自分の行動によって可変的な要素があるのは間違いない。
もちろん、顔や体、親や兄弟。才能や適正。最初から「付与」されている決定的条件があることも否定できない。
しかしだからといって、それですべてが決まるわけではない。そう考えると人生とは、運命+自分の行動の結果と考えるのが一番自然である。つまり運命は存在するが、その運命に必ずしも従う必要はない、という話である。
参考文献
(1)飯田史彦『生きがいの創造』、ブライアン・L・ワイス『前世療法』、ジェイムズ・ヒルマン『魂のコード』
(2)ジェームズ・アレン『「原因」と「結果」の法則』、ナポレオン・ヒル『思考は現実化する』、中村天風『君に成功を贈る』