Aが良くてBが悪い。この「比較思考」こそが幸福を遠ざける根本原因

選ぶ女性

新しいものを得るためには、なにかを諦める必要がある。その新しいものは、あなたの心の中にずっと、子供の頃から眠っていたものである。

まずは、それを思い出し、心の中から取り出して、このリアルの世界で具体化する、それが「作る」という行為なのだ。

森博嗣

あなたの人生において本当に大切なもの。それをどこかに探しに行く必要はない。

あなたにとって本当に大切なもの。それは本当に身近なところにあり、あなたが気づく時を、そっと待っている。

あなたはあなたで人は人。あなたが「私にとって」を大切にする生き方を選択した瞬間。それは見つかる。

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はじめに

人生の不幸は自分と何かを「比較」することから始まる。

「私は○○です」だけなら大丈夫。しかしそこに、

「私の年収は○○○円です」→「それに比べて誰々の年収は・・・」

「私の学歴は△△△です」→「それに比べて誰々の学歴は・・・」

「私のパートナーはXXXです」→「それに比べて誰々のパートナーは・・・」

など、比較対象は何でもいいが、あなたが自分を誰かと比較し始めたとき。そして比較対象があなたより「幸せな人生」を送っているように「見えた」とき。

あなたの心の中で、穏やかならぬ何かが湧き出してくることに気づくはずだ。そして、まだそれに気づけるうちは大丈夫。まだ後戻りできる

問題の本質はこの考え方

問題は、心の中で疼き出すそれに気づかず(気づこうとせず)、自分を何かを常に比較してしまう習慣をやめられないときである。それはいわば、「Aが良くてBが悪い」という思考である。

それを続けているとどうなるか?

あなたはあなたが今よりもっと「幸せな現実」を実現しても。あなたの心は落ち着かない。あなたは寂しさを感じる。「私は幸せではない」というリアルな感情が常に付きまとう。

満たそうとしても満たされない。永遠の渇きである。

あなたの人生はあなただからこそ

自分と誰かを比較する。それをしている限り、私たちはこの世で何を手に入れようと、何を成し遂げようと、常に不安や孤独、虚しさ、飢えに苛まれる。

なぜなら自分と誰かを比較するそれ自体が幸福に反した生き方だからである。

あなたと誰かはあらゆる面で違う。にもかかわらず、「あの人の方が良い」と考えてしまう。その思考それ自体が、不幸を生み出す原因である。

いちいち自分と誰かを比較するかわりにこう考える。

「「私にとって」を大切にしよう」

「自分基準」を中心に

あなたはあなた。その事実に、何の保証も証明もいらない。

一般社会において生きていく上でAかBか、物事を比較する必要がある場面は確かにある。ただしそれをあなたの人生に当てはめてはいけない。

当たり前の話だが、あなたにとって意味があることが別の誰かにとって意味があるとは限らない。あなたが会社員だろうと公務員だろうと、自営業だろうと、独身だろうと既婚だろうと、それはあなたの人生。

それがどんな形であれ、あなただけが見つけることができる、唯一の体験がある。気づきがある。だからこそ基準は、「あなた」なのだ。

最後に

目標を達成した。したいことを実現した。欲しい物を手に入れた。

そんな経験をした人なら、その喜びがほんの一瞬であって、本質的な幸せとは一切関係がないことを経験済みだと思う。そして物事には必ず二つの面があるということを、思い知らされることを学んだと思う。

人生「良い」面があれば必ずそれ相応の「悪い」面がある。だから人がどう見えようと、あなたの現状がどうだろうと、他人との比較は無意味である。

いかにその事実に早く気づき、比較思考から抜け出すことができるか?重要なのは、その一点である。

出典

『諦めの価値』