人生には自分を追い詰め、不幸に追いやる考え方がある。それが、「これしかない」という考え方である。
「私には今の恋人しかいない」
「この仕事をするしかない」
「こう生きるしかない」
こう考えることによって、自分が持っている他の選択肢があることを忘れ、自分を精神的に追い詰めてしまう。
だからこそ声を大にしてこう伝えたい。人生には常に別の選択肢がある、と。
はじめに
控えめに言っても、今の世の中で生きていくことは、そうかんたんなことではない。
現実はどんどん変わっていき、昔のように、「こうすれば幸せに生きられる」という模範解答は一つもない。
だからこそ今自分が持っているものを失うまいと、必死に我慢して、生きていく。
それは当然の話だし、生きていくために必要なことかもしれない。しかしだからといって、「~しかない」と自分の思考を制限する必要はない。
実際のところ、自分が大切だと思っていたことでさえ、それを失くしたあと、もっと大切なものを見つけられることだってあるのだ。
これが自分で自分を追い込むこと
仕事。恋人。プライベート。
「自分には~しかない」と考えることで、具体的にどのような悪影響があるか?
まず新しい可能性があったとしても、それに目をつぶって、自らを八方塞がりな状況へ追い込んでしまう。
例えばよくある話だが、どうにもこうにも弁護の余地がない悪い暴力男と付き合っているのに、なぜか別れようとしない女性。
一歩外に出れば、本当に優しくしてくれる誠実な男性がいるにもかかわらず、「私にはこの人しかない」と信じ込む。
そして暴力暴言を甘受して挙げ句、最後には救いようのないバッドエンドを迎える。
心理学的に洗脳だとか共依存だとか、いろんな説明はできるかもしれないが、自分で自分を追い詰めていることには変わりない。
まさに悲劇である。
「~しかない」は執着と閉塞感をもたらす
これと同じく、「自分はこの仕事しかできない」とこだわりを持ちすぎて自分のほんとうの可能性を見逃してしまう若者。
会社からパワハラされ、人格否定され、朝から晩まで酷使されているにもかかわらず「自分は転職などできない」とパワハラに歯向かわない会社員。
「自分にはこれしかない」と自分で自分を縛ることによって、本当の意味で自分が幸せに生きていくための、より良い選択肢を見失ってしまう。
これは本当に人生の大きな機会損失である。
「~しかない」と考えることで、「自分には今持っているこれしかない」という執着が生まれる。
すると心に閉塞感が生まれ、「未来はもっと良くなる!」という希望を見失ってしまう。
結果、生き方は守勢に周り、攻勢に転じ、自らの人生をより良くしていく気概を失う。そして残された可能性は、ますます狭まっていく。
人生には常に別の選択がある!
だからこそ大切なのは、人生「~しかない」ということなど、一つもないのである。
人生には常に、別の選択肢がある。
会社でパワハラされ、いじめられたら証拠をおさえてパワハラ上司に逆襲することだってできるし、今の仕事がうまくいかなくなったら、別の方法でリカバリーしていくことだってできる。
今の恋人がどうにもこうにも将来を考えられる相手でなければ、何歳だろうと別れて新しい恋人を探すこともできる。
つまり、今目の前の良くないことを手放すことによって、新しい何かを手に入れるチャンスが見つかる。
だから人生で「~しかない」と考えることは、ある種の依存であり、それは少しも、自分を幸せにはしない。
むしろ、その依存によって人生が硬直化し、ますます不幸を引き寄せる。
最後に
人生は素晴らしい柔軟性がある。
自分の思い通りにいかないとしても、常に心を開いて、柔軟に考えて行動すれば、別の新しい可能性を見つけることができる。
それは、自分が当初描いたプランとは別のプランになるかもしれない。しかし大切なのはどんなときでも柔軟に変わっていけること。
それが変化の激しい今の世の中、本当の意味で安定して生きていくために大切なことである。
だからこそ執着はNG。「自分には~しかない」と自分を制限し、追い詰めるのは、とてもリスクがあることである。
もちろん、人生何でもかんでも実現することはできない。
しかし、どんなときも常に第二のプランがあること。別の可能性があること。そのことだけは、忘れないようにしたい。
自分を追い詰めないために。