いい人と過ごす時間は、人生における大きな豊かさである。
しかし残念ながら、出会う人すべてが「いい人」であるとは限らない。
そこで本記事では、人間関係において広く知られている、普遍的かつ実用的な法則の一つ、「2対6対2の法則」について紹介する。
この法則を理解しておくことで、日常の人間関係に対して、より自然に、無理なく関わっていけるようになるかもしれない。
人間関係でストレスを感じやすい方、あるいは日々そのストレスを抱えている方の参考になれば嬉しい。
はじめに
世の中には、「なぜ、こんなことをするのだろう?」と思うような言動を取る人がいる。
まるで、人を傷つけたり、不快な思いをさせたりすることに、何らかの満足を覚えているかのように見える人もいる。
そうした人と関わらずに生きていければ、それに越したことはない。しかし現実には、どんな地域にも、どんな職場にも、そうしたタイプの人は一定数存在する。
たとえば、感情的な言葉を繰り返して他人を責め立てる人。あるいは、相手が嫌がるポイントを巧みに見抜き、そこを執拗に突いてくるような、計算高い人。
こういった人と関わっていると、気持ちがどんよりと曇ってくるような感覚になるかもしれない。だが冷静に見つめてみれば、本当に「厄介だ」と感じる人は、実はごく一部であることに気づく。
私たちが日常的に関わっている人の多くは、良くも悪くも「普通の人たち」である。
それこそが、人間関係における「2対6対2の法則」を裏づける一つの事実なのだ。
愉快な関係とそうでない関係
人間関係の「2対6対2の法則」とは、このようなものである。
あなたが普段接している人々のうち、2割はあなたに対してポジティブな印象を持ってくれている人たちである。友人や気の置けない同僚など、いわゆる「仲のよい人たち」がこれにあたる。
次の6割は、あなたに対してニュートラルな印象を抱いている人たちである。良く言えば「普通の関係」、悪く言えば「特に関心がない」という状態であり、あなたのことを嫌っているわけではないが、特別に関わろうとも思っていない。
この層の人たちは、あなたに暴言を吐いたり、足を引っ張ってきたりすることはない。
ただし、困っているときに助けてくれるかといえば、それもまた期待しにくい。
とはいえ、あなたの接し方や行動次第では、ポジティブな印象を持ってもらえる可能性も十分にあるため、人間関係をよりよくしたいと考えるなら、この6割の人たちにアプローチするのが効果的である。
そして最後の2割は、ネガティブな印象を持つ人たちである。彼らは、明確な理由があるわけでもないのに、あなたを好ましく思わず、否定的な言動をとったり、敵意を向けてきたりすることがある。
日常の人間関係において、あなたの心や身体にストレスや悪影響を及ぼしやすいのが、この2割の存在である。
「全ての人」と仲良くやろうとすること
理由もなく人から嫌われたり、攻撃を受けたりすることは、決して愉快なものではない。
しかし現実として、このような経験は誰にでも起こりうるものである。
なぜなら、「人間関係 2対6対2の法則」によれば、世の中には一定の割合で、あなたを好意的に見る人もいれば、否定的に見る人も存在する。
つまるところ、出会う人すべてから好かれ、すべての人と円滑な関係を築くことは、そもそも不可能に近い話なのだ。
人間関係とは、何か一つの正解でスパッと解決できるような単純なものではない。曖昧で流動的な状況の中、その場その場の空気に応じて、柔軟に対応していく必要がある複雑なものだ。
だからこそ、「すべての人と分かり合える」という幻想を手放し、ときに割り切って人と関わることも、一つの対人スキルと言えるかもしれない。
「職場の人間関係がうまくいかない」
「人と付き合うのがしんどい」
そう感じるときには、こう考えてみてほしい。
「理不尽な理由であなたを好ましく思わず、攻撃的な態度を取る人が一定数いる。そしてその割合は、場所を変えても変わらない」
そうした前提を思い出し、「すべての人間関係を良好にしたい」という期待を、いったん脇に置いてみることだ。
とくに職場の人間関係は、プライベートな交友関係とは性質が異なる。必要な業務をこなし、最低限のやり取りができていれば、それで十分とも言える。
すべての人から好かれる必要は、どこにもない。むしろ、それを目指すこと自体が、無理を生む原因になってしまう。
大切なのは、自分の役割を果たしつつ、無理のない範囲で人間関係を維持すること。疲れすぎないためには、自分なりの距離感を持つことが、何よりも重要なのである。
最後に
人は人によって傷つき、そしてまた、人によって救われる。
世の中には確かに、私たちの日常にストレートなストレスをもたらしてくる人が存在する。そういった人と関わると、たちまち人間不信になってしまいそうになる。
しかし同時に、世の中には、あなたという存在をそのまま受け入れてくれる人も、必ずいる。それもまた、「人間関係 2対6対2の法則」が示している通りである。
だからこそ、大切なことはただ一つ。世の中すべての人に好かれる必要はない。たった2割の人に好かれれば、それだけで十分なのである。
あなたは、世界中の誰からも理解され、受け入れられなければならないわけではない。この事実を心に留めておくことは、理不尽に人から嫌われてしまうことのあるこの世界を生き抜く上で、非常に大切な支えとなるはずだ。
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