なぜ本は「借りる」より「買う」なのか

読書中

家のローンなどを支払うために節約しなければならない状況にある人は独学にはまったく不向きだろう。本を買うのを渋るからだ。

図書館から借りた本ですむわけがない。借りた本で得た知識はその本を返却したときに消える。ウソのような本当の話だ。

読みたい本、読んでおくべき本を買うのをためらわせるほど節約しなければならないくらいのローンを抱えるというのは、もはや精神が危ないとわたしは思う。

それは人間的な生活を犯すことだからだ。それは抱えるべきローンの額ではないのである。ローン支払いのために自分の人間生活を壊すというのはどう見ても狂気であろう。

白取春彦

自己投資する上で、一番コスパの良い投資とは読書である。

気になる本を自分でお金を払って手に入れる。そこから得られるものは本当に果てしない。

だから文字通り、一冊の本によって人生を救われる。命を救われるということが、実際にはある。

筆者も、20代の人生のどん底の時期。何をやってもうまくいかず、文字通り人生が「詰み」そうになったとき。

偶然出会った本によって救われたことが何度もある。これは決して誇張ではなく、事実である。

この体験から、「自己投資にお金をケチらない。特に本に対しては1円もケチらない」という主張には、諸手を挙げて賛成している。

もちろん、それは個人の自由なので、本にお金をかけないのも一つの考え方だと思う。

特に、目的を持たずに時間を潰すために本を読むのであれば、なおさら自前でお金を払う必要はないかもしれない。

本屋へ行き立ち読みしたり、図書館で本を借りれば、それで済む話だからだ。

しかし決して、「借りた本で人生を変える何かを得たい」という虫の良さを持たないほうがいい。

人生、何かを差し出さずに何かを得ることはできない。読書もその例外ではない。

同じ本を読むにしても、ただで読んだ場合と、自腹を切って読んだ場合。得られるものは全然違う。

それは理屈でどうこう説明する話ではない。

だからこそ、読書によって本当に大切な何かを得たいなら。人生を変える何かを得たいなら。

ぜひ本屋へ足を運び、「ピン!」と来た本を手に取り、購入することをおすすめしたい。

そのとき本を購入したお金は、今すぐ自分のためにはならないかもしれない。即座に目に見える変化を引き起こすことはないかもしれない。

しかし、気になる本を買って読む。そこから一つ一つ何かを学んでいく。

その積み重ねによって、人生は驚くほど変わっていく。その結果、支払ってきた本代以上のものをリターンとして受け取ることができる。

それは間違いのない話であるということを、ここで強く、お伝えしたい。

出典

『独学術』(ディスカヴァー携書、2012年)