【転職活動・仕事探し】その違和感、見逃すな。

仕事探しに出かける人

私たちは生きるために仕事を探す。求人票を集め、その中から「この仕事は自分に合いそうだ」と感じる仕事を選ぶ。この時、「すぐに辞めるつもりで応募する」という人は少ない。

ほとんどの人は、「長く勤めたい」と考えて仕事を探すが、実際には長く勤めることが難しい職場も存在する。そのような職場には、共通する特徴がある。それは、求人票を見た時、面接を受けた時、勤務初日に出社した時に「違和感を感じる」ことだ。

仕事を探す際、私たちは「条件」に目を奪われがちだが、同じくらい大切なのは、自分の直感である。なぜなら、仕事は続けられてこそ意味があるからだ。

いくら条件が良くても、入社初日からパワハラを受けたり、理不尽な環境で病気になり働けなくなってしまった場合、そのダメージは計り知れない。だからこそ、求職時に感じた直感を軽んじてはいけない。

私たちには、危険を感じる直感が備わっている。その「やめた方がいい」というサインは、しばしば「違和感」として感じられる。このサインを無視してはいけない。

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はじめに

私たちは仕事をし、生計を立てる。しかし、仕事は基本的に1日8時間以上行うものであり、人生の時間の大部分を占める重要なものである。

自分が与えられている選択肢の中で、最も働きやすい環境を求めることは、労働者以前に、人としての権利である。そこで私たちは、さまざまな求人票を集め、比較検討し、応募する。

この段階で、求人の会社名や労働条件に目が行きやすいが、一つ忘れてはいけないことがある。それは、「採用されることがゴールではなく、スタートである」ということである。

仕事探しに失敗すれば、再び求職活動をする必要がある。その際、時間もお金もかかる。だからこそ「可能であれば、一回で、長く勤められる会社を探したい!」と考えることは、自然なことである。

そこで重要なのは、「正解」を見つけることではない。それよりも重要なのは、「不正解」、すなわち「ここはやめておいた方がいい」という会社に応募しないことである。

それを判定するチャンスは、採用前に2回ある。1度目は求人票を見たとき、そして2度目は面接を受けたときである。

結論はシンプルである。まず求人票を見たとき、最初の段階で違和感を感じた求人、または書類選考を通過して面接を受けたときに違和感を感じた求人は、「やめたほうがいい」会社である可能性が高い。

求人票を深読みする力

仕事探しで失敗しないための基本的な情報は、今やネットで積極的に情報収集を行うことによって、得ることができる。その結果、「求人票を探す段階」で、「採用されても続けることができないリスクが高い求人」を見分けることが可能になる。

一般的な事例として、求人票に「みなし残業代を含む(固定残業)」「アットホームな職場」「あなたの頑張りを評価」などのキーワードが含まれている場合、これらの求人への応募は慎重な検討が求められる。

求人票とは、その企業が「うちはこういった人財(あえて要注意ワードで表記)を求めてんねん」と表明しているものである。

だからこそ求職者は、求人票に書かれたメッセージの内容を、表の意味だけでなく、裏の意味まで読み解くことで、適切な選択をすることができる。

例えば、次のような求人があるとする。服装に関する規定で、男性のみネクタイ着用が必須であるにもかかわらず、女性の場合は私服OK、ネイルも可能、髪型も自由という求人があったとする。

これは暗に、「うちの職場は、女性を優遇してまっせ」というメッセージを発しており、それを見落とした男性がこの求人に応募してしまった場合、採用されなかったり、採用されても待遇面で自己裁量が制限される可能性が高い。

このような内容を慎重に検討する必要がある求人を見たとき、何らかの「違和感」を感じることがある。これは大切なメッセージである。

面接で見極められているのは、求職者だけではない

次に重要なのが、実際の面接である。面接は実際にその会社の人と顔を合わせるため、言語的・非言語的、さまざまなメッセージを受け取ることができる。

言うまでもないことだが、この時「何か、気になる」と感じた会社には、それ相応の根拠が隠されているため、その後の対応を慎重に検討する必要がある。

例えば、面接で会社に行くとする。すれ違う社員と思われる人々の雰囲気が重苦しく、イライラ感が充満している。社内が掃除されておらず、汚れている。罵声が聞こえてくる。激しい物音が発生する。中には会社ではなくカフェで面接をする会社もある。

ここで見たこと、得た直感、感じた違和感は、すべて適切な就職先を選ぶための「情報」である。

また、面接の際にこちらのストレス耐性をテストしてきたり、面接官の服装や態度が社会人以前に人として疑問を感じる対応をしてくる会社もある。これらの会社は求職者にとっては良心的な会社である。

コンプライアンスやパワハラ・モラハラといった言葉が一般化した現代社会において、「うちに入社するのはやばいから、やめておきなさいね」と彼らは入社前の段階で親切に教えてくれているのである。

このような場合、内定したとしても、速やかに辞退すれば、それ以上の実害は生じない。

転職先で起きた衝撃的なギャップ

だが注意したいのは、求職者を内定させるまでは、その実態を偽装してくる会社のケースである。面接時の印象と入社後、会社の印象が180度変わってしまうということは、実際に起こり得る。

例えば、あるアラサー女性の転職体験談がある。彼女は6年勤めた会社を辞め、「自分がしたい仕事をしたい」と転職を決意。そこで、趣味として楽しんでいた業界の求人を見つけた。応募し、面接を受けることになった。

彼女の面接を担当したのは、社長と役員を務める社長の妻だった。彼女の印象によると、「面接の段階では社長夫婦は明るく、好印象だった」。そのため、彼女は採用され、「好きな仕事ができる!」と新しい環境へのチャレンジに前向きだったという。

ところが、である。入社初日、社長夫婦は面接時とは別人のようで、言葉遣いや接し方がまるで社会人とは思えないほど乱暴な人物に豹変したという。彼女は入社初日から「この会社は大丈夫なのだろうか?」と違和感を感じたという。

結果から言うと、「好印象」だった社長は「俺のやり方が絶対だから、俺のやり方を察して、俺の思う通りに動け」というタイプで、入社初日だけでなく、2日目・3日目も少しでも気に入らないことがあれば、罵声を飛ばし、平然と恫喝されることが続いたという。

その結果、彼女は休日に家にいるときも動悸を感じるようになった。会社にいることを想像するだけで体に違和感を感じ、ベッドから動けなくなってしまった。

そして入社3週間で、会社を退職することになった。その際、社長の妻から70分もの間、延々と嫌味を聞かされ、「はじめて、退職代行を使う人の気持ちが分かった」そうである。

「入社初日」で気づいたとき

求人情報を見た段階、そして面接を受けた段階で「違和感」に気づくことは、それほど難しくはない。だが実際には、入社後に「異変」を察知してしまうことが往々にしてある。「入ってみなければわからない」ことは、確かにある。問題はその時である。

我慢することは大切だが、それには程度の問題がある。「ブラック人材」という言葉があるように、遅刻や無断欠勤の常習者で、やる気ゼロ、協調性ゼロ、社会性を著しく欠き、しかし権利意識だけは誰よりも高い人であれば、話は別である。

だが、あなたがそうではなく、明らかに環境に原因があり、その結果、体や心に影響が出て、その後の人生に悪影響を及ぼすような場合、見極めを早くする方が良い。

なぜなら、「その会社に勤め続けて体や心を壊した結果」を引きずるのは、他ならぬ自分自身であり、その原因を作った環境が責任を取ってくれることはないからである。だからこそ、「自分の身は自分で守る」ことが重要である。

激務であっても、人間関係がベリーハードでも、その代償を支払ってくれる環境であれば、まだディールは成立する余地がある。しかし、そうでないなら、「就職先を間違えた」ことを認めることは恥ずかしいことではない。

真面目に仕事を探している人のほとんどは、「今すぐ辞めます」と考えて勤務しているわけではない。そうせざるを得なかった、相応の事情があることがほとんどである。

仕事を失うことは怖いかもしれないが、それ以上に怖いのは、人生を失うことである。短期間で結論を出すのであれば、履歴書には影響がない。そして、生きている限り、生きていく場所を探すことができる。

「逃げる」は恥ではないし、ときには役立つのである。

最後に

世の中には確かに、「そんな職場があるのですか!?」と驚愕してしまうような環境が実際に存在する。

そのとき、「私はその理不尽を受け入れません」と気概を示し、その環境を変えるためのアクションを起こすことは、大切かもしれない。そして、黙ってその場所を去るよりも、人生経験の一つとして、「ノー」を「ノー」と伝えることも、ときには必要だろう。

だが、人生においてはときに、そうした試みを行う前に、今すぐ早急な撤退が最善である場合もある。いわゆる損切りである。損切りは早ければ早いほど良い。痛手を最小限に抑え、再起するための力を温存することができるからである。

私たちは確かに、「選ばれる側」かもしれない。だが、選ばれた結果、私たちがボロボロになり、その後の人生に影響が出てしまったとしても、それはすべて「自己責任」で片付けられてしまう。

だからこそである。私たちはまず何よりも、自分を大切にしてもよい。心身ともに健康を維持することができるのであれば、所属する場所、そして活躍できる場所は、いずれ見つかるのである。