弁護士として一万人以上の人々の人生を見て、つくづく感じるのは、「争っていいことは何もない」ということです。
なぜなら、争うことで運が悪くなるからです。
たとえ、訴訟に勝って大金を手に入れたところで、運を悪くしては何もなりません。実際、争いで手に入れたお金はすぐに失うことになります。
私は弁護士として、そのような転落をうんざりするほど見てきました。争いはないほうがいい。これが私の経験則となったのです。
西中務
私たちが生きているこの世の中は競争社会である。
学校に入れば成績で競争させられ、異性からのモテ度で競争させられ、社会に出れば、勤めている会社の名前や収入、結婚しているかどうか。家を持っているかどうか。
常に競争させられ、その結果で価値が高い人間なのかそうでないのか。世間から理不尽にジャッジされる。
そんな世の中だからこそ、「私は自分さえ良ければいい。周りを蹴落としてでもなんでもいいから、私だけはいい思いがしたい!」という人が登場するのは、何も不思議なことではない。
ただし人と争い蹴落として何かを得たとしても。それが本当に幸せになれるかどうかは別の話であることを教えてくれるのが、西中弁護士のこの言葉である。
人から恨みを買う怖さ
人と争えば運が落ちるかどうかは分からない。
しかしただし一つ言えること。それは、争いが起これば「勝者は必ず敗者から恨まれる」ということである。
人の恨みは怖い。それがいつどこで、因果が巡ってくるか分からない。
具体的にどの職業なのかを明言は避けるが、よく聞く話としては、人から恨まれる仕事をしている人に訪れる不幸の話がある。
職務上人から恨みを買う仕事をしている人は、本人に直接不幸がやってくることもあるし、本人に不幸がやってこない場合、本人の身近にいる大切な誰かに不幸がやって来る。
オカルトチックな話で、「科学的」な根拠は一切ない。しかし現実問題、こういう話は本当によくある話である。
このような現実的な実例から考えれば、「人から恨みを買わない」ように生きることは、とても大切なことである。
争いを避ける効果
ではどうすれば人から恨みを買わずに生きけるのか?その一つの方法が、争いや揉め事、トラブルを避けることである。
誰かと何かを争うことになったら、勝ち負けをハッキリさせるのではなく、お互い折り合えるポイントを見つけて和解する。
少なくとも、どちらかが100%得をして、どちらかが100%損をしてしまうような、折り合いの付け方はしない。
綺麗事のように感じるが、人から恨みを買わないためには、あえてこのような「損」を自分からしておくのが安心である。
かりに争いに勝ち、完全勝利をおさめたとしても、完膚なきまでに叩きのめせれた相手は、あなたの不幸を祈り、復讐の機会を狙う。
だから勝ち過ぎはNG。どんな人と付き合っても。どんな仕事をしていても。自分だけ突出して勝ちすぎるのは、不幸預金を積み立てているだけなのかもしれない。
「未来のため」に運をためる
この意味で普段から大切なのは、争いごとに関わらない、身の処し方を工夫することである。
妥協できることなら争わず素直に人に譲る。あえて自分から負ける。そもそも争いごとは極力避ける。
このような態度は「弱腰」のように思えるが、人生は長い。人を先に勝たせて得をさせておくことで、いつかどこかで、その善徳が報酬として報われる。
少なくとも、争いに巻き込まれない時点で人から恨みを買うリスクを減らすことができる。
だから運を悪くすることなく、運をためていくことができる。この意味で目先の争いを避けあえて損を選ぶのは「未来のために運を貯めている」と考えることができる。
この意味で「争わない」という考え方は、とても現実的である。
絶対に譲れないときは断固争う!
ただし、人生には人と争うべきときがある。そのときが来たら、一時的に運が悪くなろうが何だろうが、徹底的に闘うべきである。
それは、あなたの人としての尊厳をかけるとき。本当に大切なものを守る「絶対に譲れない」戦いを目の前にしたとき。
何が何でも争って、勝利を目指すべきである。
何でもかんでも争いを避けていれば、世の中からなめられるだけである。絶対に戦うべきところは何が何でも全力で争う。
ただし争いはあくまで限定的にするべきである。
妥協できることや人に譲れることがあるならば、あえて争う必要はない。ときに自ら損を選び、身を引いて相手を立てる。
何でもかんでも争っていたら、長い人生身が持たない。
最後に
人生は長い。人から恨みを買って運気を下げるのはアホらしい。譲れることならさっさと他人に譲ればいい。
些細な争いで運気を下げてしまってはそれこそ損である。
人から恨まれない安全安心な日々を送るため。何より、将来の幸運を手に入れるために。
争いは極力避けるのが吉である。
出典
『1万人の人生を見たベテラン弁護士が教える「運の良くなる生き方」』