何かを得るならば、一方において別の何かを棄てなければならない。望むもののすべてを同時に手に入れることはできない。
欲深にすべてを欲しがるのならば、それがまた悩みになる。欲深な人の顔を見てみればいい。苦悩や傲慢がぎらぎらと貼りついている。
白取春彦
世の中には、「こうしたらこうなる」という人生法則がある。
それはそうなるようになっているもので、それを知っているか知らないか。その差は実用的な意味でも、心理的な意味でも、人生を生きていく余裕が大きく変わってくる。
何かを得たら何かを失う、というのもそれだ。
具体的にはこういう話
誰かと結婚して暮らすことは、人生をともに共有できる安心感と心の寄辺を得られる一方で、自分の自由を失う。
年を取れば取るほど、いろんな経験をすることで、人や世の中を知り、賢くなっていく。反面、肉体はどんどん衰えていく。
お金があれば人生の自由度も格段に増える一方、税務署や詐欺師、いろんな人から目をつけられてしまう。
このように物事は常にトレードオフ。何かを得たらそのかわりに何かを失う。何もかも得て、足し算だけで人生を生きていくことは、絶対にできないのである。
だから人生は辻褄が合う
何かを失ったときは必ず、それ相応の何かを得られる。
このことを知っておけば、人生で絶望しなくて済む。なぜなら失恋や仕事の失敗、リストラ。人生に喪失体験はつきものだ。
もし人生が、何かを一方的に失っていくだけのものだとしたら。人生はただ悲しくて辛い、無意味なものになってしまう。しかし幸い、人生はそうなっていない。
何かを失えば、何かを得られる。マイナスには必ず、それ相応のプラスがある。それを見つけようとするならば、必ず見つけることができる。
何かを失くして幸せになる
「人生は失うだけではない、かわりに得られる何かがある」
何か大切なものを失くして絶望に沈みそうなときは、そのことを思い出したい。それによって、幾分気持ちもなぐさめられるだろう。
つまり私たちは人生において、何かを理不尽に失うだけの存在ではない。
得るものあれば失うものあり。捨てる神あれば拾う神あり。そうやって私たちの人生は、より良くなっていくのである。
出典
『悩まなくなる考え方』