世の中は、いつの時代も厳しい

考えこむ男

楽に生きられる世ではない。そんな時代がこれまでに一度もあったためしはないし、これからも絶対ない。

丸山健二(作家)

私達は、心のどこかで、この世界に理想郷があると信じている。

争いや不安もなく、誰もが自己実現を果たすことができ、平等で理想的な、平和な社会。それが理想郷。

ところが、残念ながら、我々が生きている世界は生き抜くい場所であり、争いと欲望が渦巻く世界だ。

つまりは、理想郷とは程遠いのが現実の世界なのだ。だからこそ、我々は理想郷を追い求める。まるで、青い鳥を追い求める人々のように。

理想を追うことに疲れたら、立ち止まって、現実の世界をじっと観察してみるといい。

そして、この世は生きにくい、住みにくい世界なのだということを受けいれることができれば、この世界は以前よりも住みやすい場所になっていることに気がつく。

現実を受け入れることで、幻想が消え失せ、現実を直視できるようになる。そして、現実の世界において、理想ではなく、最善の選択ができるようになる。

良いか悪いかは別にして、この世の中で図太く生きていけるのは、理想主義者ではなく、冷徹な現実主義者だ。

世の中を生きづらく感じるなら、現実主義者から大いに学ぼう。彼らに学び、人々、世界、その現実的な姿を、覚悟して受け入れるのだ。

「こうあるべきだ」という理想に固執するのも、それは1つの選択だが、理想によって首を締められないよう、現実の世界を受け入れたいものだ。

出典

『人生なんてくそくらえ』(朝日新聞出版、2012年)