孤独な人生を恥じる必要はない。なぜなら孤独に生きることがある意味

孤独

われわれは小学校の頃から、ずっと孤独は「いけないもの」と教えこまれているが、私はそうではないと言いたいのである。ある人にとって孤独は自然な生き方である。

中島義道

誰かといるとき、人は自分の存在を確認できる。

友人、学友、仕事仲間、そして家族。人は人を通じて自分の存在を確認している。だからこそだろう、人は孤独になることを恐れる。

人から遠ざかること、関わりが持てないこと、一人で過ごすことは、とかくネガティブに思われがちである。

孤独には意味がある

たいてい、孤独な人間というのは、不気味で奇異なイメージが付きまとう。

しかし、孤独には素晴らしいところがある。本当の意味で、人が自分の深い部分を発見できるのは、一人でいるときだけだ。

孤独のとき、人は自分の内面をそっと見つめ、その奥底に隠れている本当の「自分の思い」を発見することができる。

そして人生の方向性を見極め、必要なものを探し、自信の力を高める投資期間にすることができる。

孤独だからこそ見つかるもの

一方。孤独から逃げ、安易に人のなかに戻っていく事は、せっかくの成長の機会を不意にしてしまう。この意味で孤独だからこそ、物事の真贋が分かる

本物と偽物。本当に必要なもの。必要だと思っていたけれど必要ではなかったもの。

人生では一人静かにじっと孤独の中にその身をたたえているからこそ、初めて見えてくる真実がある。

それに気づくことによって人生は信じられないほど豊かになる。それは、孤独と直面した人だけが気づくことができる、人生の僥倖である。

真の友との出会い

そしてもう一点、孤独を味わったものだけが得られる素晴らしい宝物がある。それは真の人間関係である。

妥協を避け、自分の心に正直に生きていくことで、それまで築いてきた表面的な関係は全てぶち壊されていく。その結果、自分が本当につながる関係だけが残っていく。

だから無意味な関係で時間を無駄にすることがないだけでなく、本当の意味でつながりあえる人とだけ、時間を共有することができる。このことに気づいた人はもはや人間関係で不要な苦しみを背負うことはないだろう。

最後に

孤独の時間に自分を浸し、そして時期がきたら、また人の中に戻っていく。こうして人は自分のなかにある宝物を、人のために役立てる術を見出していく。

孤独は決して寂しくない。ネガティブなものでもない。それは必要な過程である。この世で本当に価値がある人生を送るために必要な経験をするための。

だからそれは必要である。最高の人生を生きるために。

出典

『孤独について』(文藝春秋、1998年)