
「今、何をしてもうまくいかない」
「自分の生活を見失い、立ち上がる気力がわかない」
「大切な人との別れを経験した」
「仕事を失った」
「これまで信じてきたものが、突然、崩れてしまった」
こうしたとき、私たちは自分がどん底にいると感じる。そのとき私たちは、何をしても、そこから抜け出せないように感じてしまう。
だが、それでいい。無理に、今すぐそこから抜け出そうと頑張らなくていい。すぐに前を向けなくてもいい。何もする気になれなくてもいい。
だが一つだけ、覚えておいておきたいことがある。それは、人生の再出発はできる、ということだ。
そのために、大きな一歩を踏み出す必要はない。ほんの小さな一歩から、始めることができるのだ。
「もう、ダメだ」は人生の終わりではない
何をしてもうまくいかない。目の前の状況は日に日に悪くなっているように思える。そして、今手元を見つめたとき、「自分にはもう、何も残っていない」と感じてしまう。
それは人生のどん底を迎えたとき、誰でも感じることであり、悪いことでも、恥ずかしいことでもなんでもない。
ここで弱音を吐いてもいいし、ネガティブなことを考えてしまってもいい。もしかしたらそれは、「もう、休みたい」という、心の本音かもしれない。
だからそこで、「こんな弱気じゃ、だめだ」と、自分を説得することはやめてもいい。今の自分を自分として、受け止めていい。
失ったものが大きければ、大きいほど、すぐに立ち上がれないのは当然だ。だから今は、「立ち上がらなければ」と焦らなくてもいい。
倒れた自分を責めないこと。それさえできれば、まずはそれでいい。
先は見えなくていい。そのかわり「今ここ」に戻る
人生のどん底を迎えたとき、私たちが生きることに一生懸命であればあるほど、浮かんでくるのは、
「これから、どうすればいいのか」
「仕事はどうしよう」
「お金は?」
「人間関係は?」
「将来は?」
といった、先のことばかりである。確かにそれは、現実的かもしれない。
だが先のことばかり考えることで、苦しさはますます、深まっていく。そんなときは、「この先の人生」ではなく、「今日の、ここ」に視点を戻してみる。
「今ここ」からできること
結局、私たちが見、感じることができるのは、他でもない、「今ここ」のことである。
だから先のことを考え、気持ちが重たくなるのなら、先のことはとりあえず、忘れてもいい。そのかわり、今ここ、今日自分ができることだけに、意識を向けていく。
朝起きて、出かける前に、可能な限り身綺麗にしておく。そこにいる部屋を、少し綺麗にする。顔を合わす人に、少しだけ笑みを浮かべる。
こうした行動は、ほんとうに小さなことだ。そしてそれらをすることによって、どん底から抜け出せるとは思えないかもしれない。
だが、こうした小さな行動によって私たちの心は、少しずつ整っていく。これは今できる、小さな再スタートだ。
今日できることを、一つだけする
気力がわかないとき、無理に立ち上がる必要はない。何もする気になれないなら、先のことを考えなくてもいい。
そのかわり、今ここから、自分が無理なくできることを、一つだけ、見つければいい。
体を大切にして早く寝る。ネガティブな言動から距離を取る。部屋を掃除する。話すと気持ちが明るくなる知人に連絡する。気になった本を、1ページだけ読む。どんな小さなことでもいい。
小さなことでも、自分で決め、することによって、「私はまだ、自分の人生で、動くことができる」という確認ができる。
それは、どん底のときに陥りがちな、「できない自分」「変わらない現実」を乗り越えていく、小さいけれど、確かな一歩になる。
そしてそれこそが、自分の感覚、そして自分の人生を取り戻す力になっていく。
「まだ残っているもの」を見つける
そしてもう一つ、大切なことがある。
どん底にいるとき、私たちは自分が失ったものばかり見てしまう。だが、私たちが何を失おうと、手元には何かが、残っている。
仕事、お金、大切な人間関係、自信、夢、多くのものを失くしたように思えたときでさえ、残っているものがある。
だからこそこう考えてみてもいい。それは「すべてがゼロになった」ということではない。「失ったものは確かにある。けれど、それだけが自分のすべてではない」と。
そして、今私たちがここにいる。それは、それまでの人生で身につけてきた経験や、学んできた知識がそこにあるということを意味している。
何より、時間がそこにある。今ここから、人生を新たに選び直すことは、できるはずだ。
最後に
人生のどん底から抜け出す。それは必ずしも、以前の自分とその人生を取り戻す、ということを意味しない。
むしろ、ゼロスタートで新しい人生を始めてもいい。以前と同じことをしなくていい。新しい人と出会ってもいい。新しい暮らしを始めてもいい。そして、新しい自分の可能性に気づいてもいい。
それはどん底の場所を知ったからこそ、人生をリセットしたからこそ与えられる、チャンスなのかもしれない。それは長い人生で必要な、一コマかもしれない。だからこそ、この問いに価値がある。
「これから、自分はどう生きたいのか?」


