われわれは過去の出来事によって決定される存在ではなく、その出来事に対して「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している。
青年
人生とは一言で言って、「自分という名の物語」である。
自分が物語の書き手となり、世界でたった一つだけの物語を、自分自身の手で紡ぎあげていくことができる。
しかし、そのことに気づけない人は、物語の書き手は他の誰かであり、「自分は誰かの物語を進んでいくしかない」と考えている。
だから、「自分は変わることができないんだ」とあきらめ、結果的に、自分自身の人生を歩むことをあきらめてしまっている。
それはとてももったいないことである。
自分を過小評価するな!
当たり前かもしれないが、あなたという人は、この世の中でたった一人しか存在しない。
もしあなたがかりに、自分自身について気に食わない何かがあっても、「今の自分なんか好きになれない!」という気持ちでも、その事実は決して覆すことができない。
つまりそれは、あなたはあなたでしか経験できない何かが絶対にある、ということを意味する。
この意味において、自分自身の物語を紡いでいくことを放棄し、他の誰かにそれを委ねることは、本当にもったいない話である。
「くだらない物語」なら今すぐに
そして今すぐ意識したい何よりの朗報。それは、自分がその気さえあれば、気に食わない物語をいつだって書き直すことができる、ということである。
それは過去に何があったとか、自分の才能はどうだとか、そういうことは関係ない。問題はあなたが自身がこれからどうしたいのか。
どんな物語を歩んでいきたいのか。つまり人生で何を楽しみたいのか。それこそが最も重要なことである。
そう、つまりは人生はいつだってやり直しができる。そして、いつだって、よりよいものにすることができるのである。あなたが変わりたいと思うなら、あなたは変わることができる。
昨日は昨日で今日は今日
「私は過去にこんなことをしてきました。だから私はこの程度の人間です。私の人生はこんなものです」
これを自己規定と言う。
確かに、自分を「正しく」「客観的」に考えることは大切かもしれない。できることとできないことを、冷静に認識することは正しいかもしれない。
ただ間違えてはいけないこと。それは過去は過去。そして未来は未来。今までの自分がどうであれ変えられることはある、ということである。
今まであなたが「自分らしくない」のであれば、これから自分らしく生きることができる。繰り返すが、人生とは自分自身の物語である。主役が物語を、自由に動かすことができるのである。
最後に
私たちが今ここにいるのは、誰かの言うとおりに生きるためではない。「これこそが私自身の物語である」という貴重な体験をするために、今この場所にいる。
繰り返す。決して自分を過小評価してはいけない。自分には自分にしか、できないことがある。それを見つけることができる。
あなたの物語の主役は一体誰なのか?それを思い出すことによって。
出典
『幸せになる勇気』