人を評価する基準は、ひとつしかない。何をやったかだ。
鈴木敏夫
気になる人がいる。その人が信頼できるか、どんな人なのか、判断する方法がある。それは、その人がしたこと、やってきたことを見ればいい。
人の本音は常に言葉ではなく、その行動に現れる。
つまり、行動を見れば、その人の思考が分かる。思考が分かれば、その人の人格が分かる。
具体的にはこういうこと
例えばこんな人がいる。
彼は言う。
「人間が生きていくのに一番大切なのは、人様の役に立つことです。お金が目的で働くのではないのです」
そこで彼の実際の行動、やったことを見てみると、面白いことが分かる。
彼の会社を支える多くの現場の人は、長時間労働で低賃金で働いている。
「そうか、会社はギリギリだから従業員の給料が安いのか?」
というと、どうやらそうでもないらしい。
会社は儲かっている。しかし従業員のもらうお金は少ない。では、会社が儲けたお金はどうなったか?
言葉はかんたんにウソをつく事実
不思議なことに、そのお金は一部の人のところだけ、たくさん流れるようになっている。
「お金は重要ではない、人様の役に立つのが大切だ」とおっしゃる彼は、億単位の豪邸に済み、莫大な資産を持っている。
「本当にお金は重要ではない」と思う人であるなら、その莫大な富を適切に分配したり寄付するなりして、資産をスッキリさせているだろう。
世の中には、「お金は大切じゃない、もっと大切なことがあります」ときれいな事を言っているが、その人が実際何をしているのか。
その行動を見ると真実が分かる。
つまり人を見抜くために一番重要なのは言葉ではない。言葉は常に嘘をつく。しかし行動だけは絶対に嘘をつかない。
本当に信頼できる人は
言葉で人をだませても行動で人を騙すことはできない。
行動にはまさしく、人の本音がダイレクトに現れる。この事実を知っておけば、人からだまされて損するリスクは激減する。
「この人は信頼するに値する人なのか?」
そんな疑問を感じたとき。
ぜひその人の行動を見てみよう。
美辞麗句を並び立てるわりには自己中な行動をしているのか。それとも言っていることとやっていることが一致している人なのか。
事実はそこで、明らかになるだろう。
出典
『ジブリの哲学』(岩波書店、2011年)